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2023/03/29

山小屋通信簿: 七丈小屋

山小屋通信簿は、清潔さや快適さなどの一般的な項目の他に、山岳写真撮影の山行拠点としての評価も加えたいたって個人的な山小屋の評価です。各評価項目を5段階で審査し、合計点数の平均(端数は四捨五入)が総合評価です。

評価項目
●清潔度:小屋内の部屋や食堂、トイレ、布団など、清潔に保たれているかどうかももちろんですが、小屋周辺の状況やごみの処理なども含みます。
●快適度:小屋内で過ごす時間を快適に過ごせるかどうかです。乾燥室の場所や利用時間、自炊場所の有無と位置、談話室の有無と居心地、本や暖房などの設備をチェックします。
●ホスピタリティ:宿泊や幕営の申込み、売店の対応など従業員の応対をチェックします。
●食事のうまさ:朝食夕食だけでなく、昼食メニューなどボリュームや味をチェックします。ただし、食べたものにもよるのでかなりいい加減です。基本的にあまりグルメではないので、味については甘い評価かもしれません。
●施設充実度:宿泊客以外の登山者が利用できる設備についての項目です。小屋前のテーブル&ベンチ、無料の水場、屋外トイレ、雨をしのげるひさし付きベンチがすべてそろっていると評価5です。
●ロケーション:写真を撮るためのベースとして、立地条件などを評価します。ただし、立地条件は変更しようがないので、3以上の評価とします。

評価基準
5:非常に優れている
4:良い
3:問題ない
2:いま一歩
1:改善が必要

●七丈小屋
清潔度:5
快適度:4
ホスピタリティ:5
食事のうまさ:-
施設充実度:3
ロケーション:4
総合評価:4.2


七丈小屋は、甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根上にある山小屋です。標高2300m付近の狭い尾根に立っていますが、小屋前には水場もあります。日本三大急登のひとつ黒戸尾根にある唯一の営業小屋であり、標高2000mを越える場所にあって通年営業している数少ない山小屋でもあります。


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七丈小屋には第一小屋と第二小屋の2棟があり、黒戸尾根を登ってきて最初に目に飛び込んでくるのは七丈第一小屋です。建物の中心部あたりに出入り口があり、まずはその前に設置されている呼び鈴を押してスタッフを呼び出し、宿泊予約の有無などを告げます。


僕の場合は、利用したのが3月上旬の平日だったので、宿泊客が少なく、第一小屋での宿泊となりました。小屋の入口は、呼び鈴のある小屋とは別になっていて、一番手前の角にある茶色のコンパネ製ドアから入ります。宿泊者カードなどの記入や代金の支払いは、入ったところにある食堂で行いました。


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食堂は真ん中に通路があり、左右に床がある昔ながらの山小屋のつくりで、座卓が置かれていました。床に座ることになるため、冷え防止に銀マットが敷いてあり、座布団などなくても冷たくないしお尻が痛くなるようなこともありませんでした。


ストックとアックスは食堂入口の内扉の前にある傘立てに置き、靴とクランポンは食堂内にある車の防水フロアシートの指定された場所に置きました。濡れたクランポンの紐や靴が凍らなくてすむので、この対応はありがたかったです。食堂はあまり広くなく十分なスペースがないので、混雑する週末などはドア前にある靴箱に置くことになるのかもしれません。



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食堂から階段を上がると、大きな相部屋空間があります。指定された寝床に自分の寝袋を広げたら就寝スペースの完成です。床には銀マットが敷いてあって、その上にビニールに包まれた敷布団とマクラが用意されていました。隣の寝床との間にはシートが設置されていて、コロナ対策もばっちりですが、混雑している場合は念のためマスクをしておいた方が安心かもしれません。夜の間も食堂にあるストーブをつけたままにしてくれるため小屋内はあまり寒くなく、外が氷点下5度ぐらいでも3シーズン用寝袋で寒くありませんでした。ただし、ダウンジャケットとダウンパンツを着たまま寝た場合の話です。


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第一小屋から少し奥に行くと第二小屋がありますが、今回は中に入っていないので様子はわかりませんでした。


七丈小屋には、いわゆる売店らしいものはありませんでした。冬場だけなくて、夏場は設置されるのかどうかはわかりません。なので、日帰り登山者がここで昼食をとることができるのかどうかはよくわかりません。宿泊手続時にラーメンやカレーなど軽食はありますかと聞いたら、やっていないとのことでした。ただし、カップ麺などは売っているそうです。


乾燥室に関しては、第一小屋内にそのような部屋は見当たりませんでしたが、食堂入口前に風除室のような場所があり、たぶんそこを乾燥室として使うのではないかと思います。ほんの2畳ぐらいの広さなので、混雑していると大変かもしれません。


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自炊は、食堂で食事付き宿泊者と同じ机でOKでした。金属のトレーを渡されて、この上で火を使ってくださいとのことでした。屋外だったり、暖房のない土間のような場所や専用の部屋で自炊をさせられる小屋も多い中、暖房のきいた食堂で自炊ができるというのはとてもありがたいことです。


水は、宿泊者は2リットルまで無料でもらうことができます。食堂の隅にポリタンクがあり、セルフで水を汲みます。


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トイレや洗面所は、小屋内にはありません。第一小屋から奥へ30mぐらい行くと、第二小屋の手前に屋外トイレがあります。個室のみで3ブースあったと思います。奥のひとつは女性専用になっていたと思います。洋式便器で、紙は専用のパイプが床から出ていて、その中に捨てます。水洗ではありませんが、黄色のポリタンクにたまるようになっていて、いわゆるぽっとん便所的な雰囲気はあまりなかったです。冬なので臭いも特に気になりませんでした。


トイレに内に手洗い場はありませんが、手指の消毒用にアルコールスプレーが設置してありました。夏場は第一小屋前に水場があるようなので、そこで手洗いはできそうです。


施設充実度については、小屋前にベンチがいくつかありますが、テーブルは見当たりませんでした。庇付きのベンチやテーブルもありません。


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第一小屋前に水場らしい流し台がありましたが、雪が積もっていて詳しくは確認できませんでした。おそらく無雪期であれば利用できるようですが、小銭入れらしい箱が設置されていたので、トイレと同じで有料でということのようです。尾根上の小屋なので、水もポンプアップするためにコストがかかっていることを考えると、やむなしというところでしょう。


快適度に関しては、床に銀マットが敷いてあったり、寝床がシートで区切られていて個室感があるなど快適ではあるものの、トイレが屋外で小屋内に洗面所がない点を差し引いて4点としてました。


ロケーション的には、積雪期で甲斐駒ヶ岳山頂まで2時間半ほどの位置にあり、八合目御来光場までなら約1時間と比較的撮影ポイントも近く、いいロケーションといえます。トイレの前から鳳凰三山と富士山も見られますが、少し登ってテント場のあたりまで行けばもう少しよく見えそうです。八合目からは目の前に甲斐駒ヶ岳がそびえたち、山頂からは仙丈ケ岳や北岳、鳳凰三山、富士山、八ヶ岳など周囲の山々をはじめ、360度の展望があります。ただし、ここを拠点にあちこち行けるという場所ではないので、その点を差し引いて4点としました。


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2023/03/27

N-VANのナイトドライブレビュー動画を公開

N-VANの夜道でのドライブにおけるライト関係のレビュー動画を公開しています。オートライトのハイ/ロービームの切り替え動作の感想や、メーター周りの照明、フォグランプをつけた時の様子など、ドライバー目線での動画になっています。






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2023/03/26

最高燃費! N-VAN +STYLE FUN TURBO 4WDで21.5km/Lを記録

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3月初旬に遠征した甲斐駒ヶ岳登山で、諏訪から滋賀へ移動する時、中津川までは一般国道を使いました。下諏訪で出発前に満タンに給油し、遠征時のそこそこ重い荷物も積んだ状態で諏訪から塩尻へのきつい峠道を結構なハイペースで走ったりもしましたが、その後は基本的に下り基調の道が続いたおかげで、21.5km/Lという購入以来最高の燃費が出ました。TURBOで4WDでスタッドレスタイヤで満タン給油に重い荷物と五重苦状態でかなり条件の悪い走行でしたが、下り基調で信号が少なく、平均速度60kmぐらいで、淡々と流れていたのが良かったのでしょう。もちろん、エコラン重視で不用意にアクセルを踏んだりしないように気をつけながら走行したことも燃費が良くなる要因だった言えます。TURBOの4WDで20km/Lは無理かもしれないと思っていましたが、条件が整えば十分可能であるということがよくわかりました。


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ちなみに、この遠征の往路では、岡山からずっと高速道路を使い、ACCを90kmに設定してできるだけ追い越しでもアクセルを踏まないですむようにタイミングを見計らって走ったりもしていましたが、それでも途中から徐々にアクセルを踏んで追い越し加速をすることも増えてきて、結局名古屋の小牧ICあたりでガス欠マークが点灯してしまいました。しかも給油してくださいというメッセージまででてきて、妙に焦ってしまいました。あわてて一番近いガススタンドのあるPAを検索し、30kmほど先の虎渓山PAで給油することができたのですが、恵那山トンネルを越えた先にある阿智PAで休憩と給油をするつもりでいたので焦りました。この時の平均燃費は、確か15.3km/Lぐらいだったと思います。まんたんで25リットルしか入らないN-VANなので、無給油で走れる距離は400kmに満たないというのは仕方のない所です。それでも20km/Lの燃費が出るのなら500kmぐらいは走れるはずなので、今後は往路の高速道ももうすこし気持ちをセーブして低燃費走行を心がけていく努力をしようと思います。




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2023/03/25

標高のわりに意外と大変: 武奈ヶ岳その2 

2023年3月10日(金) 滋賀県大津市 武奈ヶ岳(標高1214m) 日帰り単独行 


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稜線を進んで行くと、左手前方にピークが見えてきました。おそらくあれが武奈ヶ岳だろうと思いましたが、正確には山頂手前のピークが見えていたようです。この時点ではすっかり山頂だと思っていました。


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12:07 御殿山に到着です。登山口から30分で一度休憩して以来、ここまで休憩なしで登ってきたので、ここで休憩をとりました。といっても、特に疲れた感じはなく、このまま武奈ヶ岳までノンストップで行っても大丈夫だろうというほど元気でした。どうやら、黒戸尾根での修業のような登山のあと、2日間休養をとって体力はほぼ回復したようです。いままでなら、12時間も行動したら1週間ぐらい休養しないと登山したいという気にはならなかったのですが、年末以来割と頻繁に雪山登山をしているので衰えていた体力が戻ってきたのかもしれません。


御殿山からは武奈ヶ岳の山頂が見えていましたが、登頂するためにはここからいったん鞍部に下って左に見えるピークに登り返し、そこから平坦な雪原のような尾根を経てさらにその先のピークに登ってから山頂へ行くことになります。下って登り返すだけならまだしも、無駄に距離のある平坦な雪原のような尾根を経てさらに別のピークに登ってからでないと山頂に届かないという、なんとも意地の悪い山だなと思ってしまいました。いわゆる「いけず」な山です。


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御殿山で12本爪クランポンを装着して、そこそこ急な斜面を下って鞍部まで下りてきました。


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12:16 少し進むとワサビ峠と書かれた道標がありました。ここから右手方向(東)へ行くと、金糞峠方面に行けますが、谷を越えた先の稜線にでたところにある中峠から左(北)へ行けば標高1181mのコヤマノ岳を経て武奈ヶ岳にも登ることができます。


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ワサビ峠から先は、しばらく緩やかな登りですが、標高1130mのピークが近づいて来ると次第に傾斜がきつくなってきました。


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12:32 標高1130mのピークに着きました。武奈ヶ岳のピークを正面に見ながら、長く平坦な尾根歩きがここから始まります。


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12:42 北向きの幅の狭い尾根が終わり、武奈ヶ岳の西側に広がるだだっ広い尾根に出てきました。緩やかに登りながら、まだまだ長い雪原が続きます。


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武奈ヶ岳手前にあるピークへ登って行くと、雪庇のできた細尾根も出てきました。庇状に張り出しているわけではないので危険はありませんが、ハイシーズンであればもっと雪庇が発達しているかもしれません。


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12:58 武奈ヶ岳手前のピークです。御殿山下のワサビ峠からコヤマノ岳経由の登山道がここで合流します。山頂はもう目と鼻の先です。



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13:01 武奈ヶ岳山頂に到着です。御殿山から1時間近くもかかってしまいました。御殿山から見た限りでは40分ぐらいと思っていたのですが、ワサビ峠から登り返した標高1130mのピークから先の北向きの尾根が御殿山から見えていなかったので、その区間分だけ見た時の目算よりも10分程余計にかかってしまったわけです。山頂から北側に50mほど下ったところに2人の登山者が休憩しているのが見えましたが、山頂には誰もいませんでした。写真では穏やかな春の山のようですが、けっこう北風が冷たくて、ここでランチにするのは厳しい状況です。


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山頂南側にわずかに段差のある場所があり、そこに座ると風があまり当たらなかったので、とりあえずハードシェルジャケットを着て風を防ぎつつ、段差の下の風の当たらないところでお湯を沸かしました。今回は、またカップ麺のランチです。


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昨日、諏訪を離れる前に夕食を買ったスーパーで安売りされていたパンも残っていたので持ってきました。5個ぐらい入っていたので前部は食べきれなかったものの、カップ麺だけでは物足りなかったので持ってきて正解でした。


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今日は小エビ天ソバで、あっさり系のランチです。


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ランチの後、ゆっくりと展望を楽しみました。これはおそらく東側の風景だったと思います。わずかに琵琶湖らしいのが見えていますが、下の方が灰色っっぽい感じでいまいち水面なのかどうかよくわかりません。


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こちらはたぶん南東方向で、左に見えているが1060mの釈迦岳だと思われます。


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南には、はるか遠くに琵琶湖バレースキー場のある蓬莱山が見えています。京都の大学に通っていた学生時代に、確か1度だけ訪れたことがあったと記憶していますが、どんなスキー場だったかほとんど記憶がありません。カリカリのアイスバーンで滑りにくかったことはなんとなく覚えています。


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なんとなく蓬莱山のほうが高そうに見えますが、蓬莱山の標高は武奈ヶ岳よりも40mほど低い1173.9mです。


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13:46 下山します。山頂にはわりと長めの45分いました。


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14:35 御殿山を通過します。


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14:51 積雪期ルートと無雪期ルートの分岐点です。登ってくるときは無雪期ルートを使いましたが、下りだと谷筋へ降りるところがやっかいそうなので、下りは積雪期ルートで行くことにしました。なので、おそらく雪はほとんどないであろうと予想して、クランポンはここで外しました。


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予想通り尾根筋である積雪期ルートは、雪のない状態でした。標高930m付近の小ピーク北側にある平坦な場所には少し雪が残っていましたが、傾斜の急な場所は完全に土道になっていて助かりました。


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15:08 下の無雪期ルートとの合流点まで下りてきました。ここから先はもう雪のない普通の無雪期の山なので安心だと思ったのですが、すぐ後にトレースを見失い少しの間うろうろする羽目になりました。


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それが、合流点のすぐ先にある846ピークです。この手前の低い鞍部のあたりはまだ少し残雪が残っていて、846ピークへの登り返しの斜面も残雪に覆われていました。なので、トレースを追ってまっすぐに846ピークに登って行ったのですが、ピークに出たところで雪は無くなり、突然トレースがわからなくなってしまいました。下ってきたときにこのピークに立つと、ちょうどやや右手方向でほぼまっすぐな尾根筋と、左手方向に下る尾根筋の2つに分かれます。しかも、見渡してもテープナビはまったく見つかりません。おそらくまっすぐ方向であっているはずですが、まったくトレースらしきものがないということが決断を鈍らせました。というのも、まっすぐな尾根はすぐ先で先端が見えなくなっているのに対して、左の尾根は明瞭に先の方まで見えていて、なんとなく左の方が正しい尾根の様な気がしてしまうためです。人は見えているものを信じがちです。山で遭難しないためには、見えているものをまずは疑ってかかることです。足場や手がかりが体重をかけてもしっかりしているとは限らないし、目の前に続く尾根が正しい下山ルートとは限らないのです。


GPSで登ってきたときのトレースを確認しようと、GPSの地図画面を開いて愕然としました。なんとトラックデータが表示されていないのです。どういうことかと思ってよく見ると、なんとトラックデータの取得が停止された状態になっているではありませんか。残っていたトラックデータは、明王院前の赤い欄干の橋を渡ったところまででした。橋を渡ったところで川沿いに右手にいくトレースがあったので、念のためルートを確認するためにGPSを取り出してみたのですが、そのときグローブをはめていなかったので、見終わって戻すときにうっかり画面に触って停止状態にしてしまったのでしょう。ガーミンのOREGON650TCJはタッチパネル操作方式であるため、うかつに素手で触るとこういうことが起こってしまいます。タッチパネル操作が可能なグローブでも同じで、使い勝手はわるくないものの、このような誤操作をしてしまいがちという点で、タッチパネル方式も善し悪しです。


幸い、地図には夏道が描かれていたので、まっすぐ方向の尾根で間違っていないことはわかりました。また、夏道はどうやら846ピークの北側を巻き気味に通っているということも分かったので、右下方向へ下って行くと、すぐに夏道を見つけることができました。こうなるとGPSはもはやあっても無くても関係ないという状態ですが、とりあえず残りの区間だけでもデータを残しておくことにし、846ピークからGPSをトラックデータ取得状態にしておきました。


ちなみに、846ピークから間違って左の尾根の方へ進むと、その先は口ノ深谷源流部の断崖絶壁になっています。口ノ深谷あたりは過去にも何件か遭難が発生したことがあるらしく、もしかしたらこのあたりうっかり左の尾根を下って断崖絶壁に吸い込まれたのかもしれません。今回歩いた限りでは846ピークから先、下山時に左へ下る尾根や斜面を通ることはなかったので、もしも左下がりの尾根や斜面に入った場合、かならず引き返すべきです。登り返すのはめんどくさいし、下ればなんとかなるという考えで下り続けると、口ノ深谷に滑落する可能性が非常に高くなると思われます。


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16:06 最後の激下りがかなり足腰に来ましたが、膝痛が出ることもなく、無事に三宝橋まで戻ってきました。


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16:12 駐車場に着きました。武奈ヶ岳まで往復しただけですが、かれこれ6時間半も時間が経っていました。雪があったのは標高950mあたりから上だけだというのに、やたら時間がかかったような気がします。標高800mあたりから緩やかになって距離のわりに標高が稼げない区間が多いというのが理由なのかもしれません。御殿山から山頂までも1時間近くかかっているので、上蒜山と同じ程度の山のわりに、時間もかかるし妙に大変な山だったなというのが正直な感想です。武奈ヶ岳は近畿地方では人気の山で、初心者でも簡単に登ることができる山というイメージがあるのかもしれませんが、こと積雪期に関しては遭難件数もそれなりにあり、イメージほど楽で簡単な山ではないという気がします。


葛川市民センター駐車場を出発した後は、一路京都に向けて国道367号を南下しました。僕が学生時代にバイクで走っていたころに比べると、道は広くなり、新しく付け替えられていたりトンネルができていたりで、すっかり快適な道になっていて驚きました。


大原を経由して京都市内に入りました。懐かしの京都に来るのは、おそらく10年ぶりぐらいのはずです。レンガ造りのおもむきのある大学のキャンパスにもちょっと立ち寄ってみたいところですが、時間も遅いし混雑した京都市内を早く抜けたかったので、それはまた次の機会にすることにしました。京都市内を抜ける前に、どこかの銭湯に寄って行くつもりでしたが、3軒ほどまわったものの、車を停めることができず、あきらめて国道9号で亀岡方面に向かいました。


桂あたりの国道9号沿いにある仁左衛門の湯に立ち寄るつもりでしたが、ちょうど夕方の帰宅ラッシュで国道は激込みの上に、温泉の方もわりと混んでいる様子だったので、お風呂はあきらめて亀岡にある道の駅まで行くことにしました。山小屋に泊まったと思えば、風呂に入らなくてもどうということはありません。ウェットティッシュで体を拭いておけばけっこうすっきりしますし、明日はもう帰宅するだけです。


亀岡市内のスーパーで夕食と朝食を購入し、道の駅ガレリアかめおかに19時半ぐらいに到着したのですが、びっくりするほど車がいっぱいでした。かろうじて空いていた場所に停めることができたものの、なぜこんな満車状態なのかわけがわかりません。停まっている車の多くは車中泊という様子ではなく、誰も乗っていません。ということは、ガレリアかめおかの建物内で何かしているということでしょうから、そのうちいなくなるのでしょう。


混雑した駐車場の片隅に止めた車内でひっそりと夕食を食べました。そして、旅の終わりを記念して、ながらく飲んでいなかったビールを飲みました。スーパーで奮発してプレミアムモルツとイカの照り焼きを買ってきたのですが、久しぶりに飲むビールは五臓六腑にしみわたりました。もっとも、その後のアルコールで酔った状態がやっぱり好きになれず、自分にはノンアルコールビールの方が好ましいと悟った次第です。


昔はお酒もよく飲んでいましたが、もともと強くはないうえにいつのころからかあの自分でコントロールできない酔った状態というのが嫌になってきて、かれこれ20年ほどはほとんどアルコール飲料を口にしていません。年に1~2度というレベルで日本酒やワインをもらったりするので、そういうときは寝る前にちびちびとグラス1~2杯というスローペースで数日かけて消化している次第です。


21時を回ったころようやく車が減って静かになってきたので、トイレに行ってからゆっくりと眠りにつきました。


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846ピークから上は手書きでラインを入れているので、実際に歩いたトレースではありませんが、おおむね夏道通りに歩いたはずなので、極端にずれているということは無いと思います。


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2023/03/23

標高のわりに意外と大変: 武奈ヶ岳その1 

2023年3月10日(金) 滋賀県大津市 武奈ヶ岳(標高1214m) 日帰り単独行 


3月10日の朝は6時頃起床しました。前夜、けっこう雨が降っていましたが、朝には止んでいました。とはいえ、空の雰囲気はあまりすっきりとはしていません。本当に晴れるのか疑わしいような天気です。


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一夜を過ごさせてもらった道の駅 塩津海道・ あぢかまの里をぶらりと見学させてもらってから、近くのコンビニで朝食を買い、武奈ヶ岳の登山口である葛川坊村町の葛川市民センター駐車場を目指します。


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約1時間のドライブで、葛川市民センター駐車場に着きました。武奈ヶ岳は琵琶湖のある東側からは多くの登山道が伸びていますが、武奈ヶ岳の東にある稜線を越えて行くことになるので、距離があり時間もかかります。西側からは2本の登山道しかなく、そのどちらも直接山頂につながっているわけではなく、他の山を経由するルートです。最短距離となる山頂につながる尾根も無いわけではありませんが、そのどちらも急登ゆえなのか登山道はありません。


積雪期であれば葛川梅ノ木町か、葛川貫井町から尾根通しで直接山頂に登れそうですが、この時期はもう稜線近くまで登らないと雪は無いので、おとなしく夏道ルートで登るしかありません。


ということで、一番メジャーなルートであろう御殿山ルートで登るために、登山口となる葛川市民センター駐車場にやってきたというわけです。


装備リスト
●アッパー
 ドライレイヤ: ノースフェイス L/S ハイブリッドパラマウントメッシュクルー
 ベースレイヤ: スマートウール マイクロウェイトクルー
 ミドルレイヤ: なし
 ソフトシェル: マムート ロワーモーズリージャケット
 ハードシェル: マムート スリルトリップジャケット
 インサレーション: バーグハウス ラムチェマイクロダウンジャケット
 グローブ: セイラス エクストリームオールウェザーグローブ
 キャップ/ハット: マムート Lhasaキャップ

●ボトムス
 ドライレイヤ: なし
 ベースレイヤ: ノースフェイス ウォームトラウザーズ
 ミドルレイヤ: なし
 ハードシェル: マムート ゴアテックスクァンタムストレッチパンツ
 インサレーション: なし
 ソックス: ファイントラック メリノスピンソックスEXPレギュラー
 シューズ: スポルティバ トランゴアルプGTX
 ゲイター: マムート ゴアテックスゲイター

●ギア
 バックパック: マムート トリオンプロ35+7L
 ストック: ブラックダイヤモンド トレイルコンパクト
 ワカン: エキスパート・オブ・ジャパン スノーシューズL
 クランポン: グリベル エアーテックニューマチック
 アックス: なし
 ヘルメット: なし
 寝袋: なし


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ウェア類は、もともと甲斐駒の後でもう一座登るつもりで用意していたものです。信州の山向けだったので、武奈ヶ岳ではやや保温性能がオーバー気味ですが、稜線に出るとわりと風があって寒かったので、それほど汗だくになることはありませんでした。


アックスは使うことは無いと判断して装備から外し、ワカンは念のため持っていきましたが、使うことはありませんでした。


グローブも、登り始めてすぐに暑くなって外してしまい、結局下山するまで素手のままでした。




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9:36 駐車場を出発します。橋を渡って対岸の明王院に向かいます。


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葛川市民センター駐車場は武奈ヶ岳登山者に解放されているわけですが、登山用の駐車場というわけではないので、敷地内に公衆トレイはありません。しかし、駐車場から橋を渡って左へ少し歩いたところに公衆トイレがあります。僕も忘れずに立ち寄ってから登山口に向かいました。


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公衆トイレからまっすぐ山の方へ向かっていくと、鳥居の前を左に曲がった先にある赤い欄干の橋の右手に登山届のポストが設置されています。


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ポストの前に設置されている道標の横には簡単な地図もあるので、道を確認しておきましょう。道標にあるように、ポストの前をそのまま渓流沿いに奥へ進むと牛コバというところに行くようです。牛コバというのは、しばらく東に行ったところで白滝谷と奥ノ深谷が出合う場所の名前で、そこからも武奈ヶ岳へ登ることはできますが、かなり遠回りです。なので、今回は素直に御殿山経由で武奈ヶ岳に向かいます。


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登山届を書いてポストに入れたら、橋の所に戻ります。


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三宝橋という名前の赤い欄干の橋を渡ります。


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橋を渡ると明王院への石段を登って行きます。


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明王院を過ぎて石積の塀が切れたところが登山口です。角にある電柱に道標も設置されています。


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10:03 登山口からいきなり急登が始まります。まるで黒戸尾根の取りつきのようで、デジャブかと思いました。


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10:30 あまりにも急登が続くので、さすがに疲れて倒木をベンチ代わりにして休憩をとりました。まだ登り始めて30分しかたっていないのに、これほど疲れるのはやはり黒戸尾根の疲労が取り切れていないのかもしれません。


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休憩を終えて先に進むと、すぐに傾斜が緩んで歩きやすくなってきました。休憩時にラムネを食べたおかげか疲労感もとれたようで、しんどい感じはなくなりました。最近は行動時にきつくなるとラムネを食べていますが、さすがにブドウ糖の塊だけあってすぐにエネルギーになり、疲労感もとれるので理想的な行動食といってもいいのかもしれません。


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しかし、標高700m地点から再び急登が始まりました。今度はなぜか登山道だけがぬかるんでいて、すごく歩きにくい状態です。


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11:03 ようやく急登が終わり、尾根上に出ました。ここから先は比較的緩やかな尾根筋を登って行きます。


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11:15 標点846を過ぎて小さな鞍部を越えると、道の分岐点がありました。地形図には描かれていませんが、ここで積雪期ルートと無雪期ルートに分かれます。ここまで登山道に雪はほぼない状態だったし、黒戸尾根でも標高1500m以下では雪はなかったので迷わず右の無雪期ルートを選びました。


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積雪期ルートのほうが稜線伝いなので雪がないのはもっと確実だと思われますが、その分傾斜がきついかもしれないので無雪期ルートでいいだろうとの判断でした。


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無雪期ルートに入ると、すぐに急斜面のトラバース区間になりましたが、日当たりが良く雪はまったくありません。この急傾斜だと雪があるとさすがにやばそうですが、雪さえなければ全く問題ありません。傾斜もゆるく、ハイキング気分で楽に歩けました。


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小さな尾根を越えて道が北向きになったところで少し残雪が残っていましたが、この程度であれば危険は何もありません。


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北向きの谷筋に入るところから完全な残雪歩きとなりました。ただしこの谷は傾斜もゆるく深くもないので、とくにやばい所はありませんでした。


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しかし、谷の奥で左岸の尾根斜面に登り始めると、傾斜がきつくなり雪は緩んで足元が崩れやすかったり、踏み抜きが多くなったりで、けっこう大変でした。危険というほどのことは無かったものの、これなら積雪期ルートのほうが楽だったかもしれません。写真は尾根上に出て振り返って撮影したものです。


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11:48 標高1000m付近で積雪期ルートとの合流点がありました。


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すっかり雪山になっていましたが、傾斜が緩く雪の状態も悪くなかったので、そのままツボ足で御殿山方面に進みました。

つづく。

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2023/03/21

黒戸尾根のリハビリハイク: 美ヶ原高原 

2023年3月9日(木) 長野県長和町 美ヶ原高原(標高2034m) 日帰り単独行 


甲斐駒黒戸尾根から下山した翌日の8日は、さすがに疲労感と筋肉痛で動くのがつらい状態だったので、100円ショップで買い物をしたり、湖畔の駐車場でのんびりしたりして静養していました。しかし、9日になると疲労感と筋肉痛はかなり治まり、平地を歩くぐらいであれば痛みは感じなくなっていたので、リハビリがてら美ヶ原高原にハイキングに行ってみることにしました。9日は朝7時過ぎに起きて、すぐに温泉に入ったのが良かったのかもしれません。


ちなみに、立ち寄ったのは下諏訪にある湖畔の湯というところで、朝6時から営業しています。ここは入浴料280円ととってもお得です。ちかくにある美肌の湯 ロマネットは朝5時半から営業していますが、こちらは朝9時でいったん終わるので要注意です。朝風呂の入浴料は湖畔の湯と同じく280円です。他にも下諏訪温泉の共同浴場は、朝5時や5時半から営業しているところが多いので、登山後に諏訪湖周辺でいったん静養する場合に便利な場所です。下諏訪温泉公式ホームページに詳しい情報があります。


装備リスト
●アッパー
 ドライレイヤ: ノースフェイス パラマウントタンク
 ベースレイヤ: モンベル ジオラインLWラウンドネックシャツ
 ミドルレイヤ: なし
 ソフトシェル: マムート アルティメイトアルパインフーディ
 ハードシェル: マムート スリルトリップジャケット
 インサレーション: バーグハウス ラムチェマイクロダウンジャケット
 グローブ: セイラス エクストリームオールウェザーグローブ
 キャップ/ハット: マムート Lhasaキャップ

●ボトムス
 ドライレイヤ: なし
 ベースレイヤ: モンベル ジオラインLWタイツ
 ミドルレイヤ: なし
 ハードシェル: マムート ゴアテックスクァンタムストレッチパンツ
 インサレーション: なし
 ソックス: アイスブレイカー メリノウールミディアムクルー
 シューズ: スポルティバ トランゴアルプGTX
 ゲイター: マムート ゴアテックスゲイター

●ギア
 バックパック: マムート トリオンプロ35+7L
 ストック: ブラックダイヤモンド トレイルコンパクト
 ワカン: なし
 クランポン: なし
 アックス: なし
 ヘルメット: なし
 寝袋: なし


ウェア類は、念のために持ってきていた予備のウェアを使いました。気温が高かった時用のものですが、晴天の割にけっこう風がきつくて寒かったので、ソフトシェルの上にハードシェルを着て行動してもまったく汗をかかないぐらいの気温でした。もっとも、手足が冷たくなるようなことは無く、その点は黒戸尾根の登山の時よりもかなり楽でした。


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下諏訪から約1時間で、美ヶ原高原ホテル山本小屋前の駐車場に着きました。小屋前からさらに先に入って行く未舗装路があり、除雪もされていましたが、一般車両はここまでです。てっきり通年営業している王ヶ頭ホテルまで行けるのかと思っていましたが、年間通してホテルまで直接行くことはできないみたいです。ちなみに、王ヶ頭ホテルの案内によると、夏季は山本小屋前と反対側の美ヶ原自然保護センターから送迎バスが出ているのですが、冬季は松本に近い美鈴湖駐車場からのみ送迎バスがあるとのこと。


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10:42 駐車場を出発します。


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ホテルの前を通ってぬかるんだ未舗装路を歩きますが、けっこうドロドロになるので早めに右手の雪原に上がった方が汚れなくて済みます。雪はそこそこ固かったので、あまり深く踏み抜くようなことはありませんでしたが、それでも表面は陽射しで融けて緩んでいて、歩きやすいというほどでもありません。


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牧場の柵に沿って歩いて行くと建物が見えてきましたが、これは牧場の施設です。


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牧場の施設を過ぎるとただっぴろい雪原の中の道になります。そして、右手前方に美しの塔が見えてきました。


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11:04 出発してから20分ほどで美しの塔に着きました。右後ろに見えるピークが王ヶ頭です。遥か昔、中学校の修学旅行で長野県に来たときに美しの塔に立ち寄ったような気がしますが、まったく記憶がありません。白樺湖は記憶にありますが、美ヶ原はどうだったでしょうか。


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三脚を持ってこなかったので、頭だけ雪の上に出ている牧場の柵の支柱にカメラを置いて、記念撮影しておきました。けっこう風があって寒かったので、ハードシェルを着てフードもかぶっています。


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美しの塔からさらに先に進んでみることにしました。雪原なのでどこを歩いてもいいのでしょうが、とりあえずトレースとキャタピラの跡がついている柵の間の道を進みます。


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11:16 雪原の中の柵に囲まれたちょっとした広場のような場所まで来ました。王ヶ頭へはここから右手方向に進むようです。王ヶ頭まで行くかどうか迷いましたが、平地を歩くのは問題なくても上り下りではまだ太ももの筋肉痛が収まっていないし、疲労感も完全になくなったというわけでもないので、無理はやめることにしました。できれば、明日10日はどこか日帰り登山に行きたいと思っていたので、今日は軽いリハビリハイクにとどめておきます。それに、ただだだっ広い雪原が広がるばかりで正直あまり楽しくないし、王ヶ頭は電波塔が立ち並んでいて登りたいという気持ちもわいてきません。ということで、ここで引き返しました。


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11:37 美ヶ原高原ホテルに戻ってきました。陽射しがあって見た目にはぽかぽか陽気ですが、そこは標高1900mを越える高原なので、けっこう体が冷えました。おなかも空いてきたので、早く降りてランチにすることにしました。


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山を下りて長和町和田宿で国道142号に出たところにある和田宿ステーションという道の駅のようなところに立ち寄ってみると、食堂が営業中で客が全然いなかったので、ここでランチを食べていくことにしました。


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おすすめメニューに「くるみざるそば」というのがあったので頼んでみたのですが、クルミを挽いた粉をつけダレに入れて食べると、クルミの甘さとタレのしょっぱさがうまく融合して、けっこう美味でした。ソバも手打ちかと思わせるぐらいコシがあって歯ごたえもしっかりしたおいしいソバでした。会計時に手打ちですかと聞いたら機械打ちのソバだとのことでしたが、それにしてはいいできです。


このお店、ソバは悪くなかったのですが、お店の床や机の上がすこしべたつく感じがしていたのが、ちょっと気になりました。


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その後、諏訪まで戻り、諏訪大社下社秋宮を見学しました。何度も下諏訪を訪れていますが、諏訪大社を訪れるのは初めてです。無料の駐車場があったのも立ち寄った理由のひとつです。もしも有料だったら通過していたことでしょう。


その後、コンビニに立ち寄って明日の予定を考えました。天気予報を見ると、信州地方は明日10日の午前中は雨ですが、午後からすっきりと晴れるとのことです。気持ち的には一度登ったものの天候に恵まれず全く展望がなかった蓼科山にもう一度登りたかったのですが、午後だけしか時間がないとなるとちょっと厳しい行程です。お昼に登頂できるように登るという手もありますが、春とはいえまだ寒いこの時期に雨に濡れながら登山をするのは避けたいし、天候の回復が遅れたら悲惨です。北八ヶ岳なども考えましたが、やはり午後しか時間がないとなると信州の山は厳しいという結論になってしまいます。


天気は西から回復するということで、近畿地方の天気を見てみると、どうやら滋賀、京都あたりは朝から天気が良さそうです。ならば、今日のうちに近畿地方に移動して、前から気になっていたあの山に登ってみることにしました。


とはいえ、もう夕方が近く、今から移動すると到着が中途半端な時間になります。下諏訪で温泉と夕食をすませてから移動することにし、19時頃に下諏訪を出発。中津川までは国道19号を使い、中津川から中央道、北陸道を経由して木之本ICで下り、国道303号を西に少し行ったところにある道の駅塩津海道・あぢかまの里で眠りにつきました。


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2023/03/20

日本三大急登に挑む! 雪の黒戸尾根: 甲斐駒ヶ岳その4 

2023年3月6日(月)~7日(火) 山梨県北斗市 甲斐駒ヶ岳(標高2967m) 小屋泊単独行 


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9:40 山頂でかれこれ30分間ゆっくりした後、下山開始です。


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剣の刺さった巨岩の上までは順調に下ってきましたが、あの巨岩を過ぎると再び緊張の核心部です。登りよりも下りに事故が多いということで、慎重の上にも慎重を期して下らなければと気持ちを引き締めました。


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さすがにのんびりと途中で写真を撮っているほどの余裕はなく、取付き部まで無心で下ってきました。バックステップで雪壁を下ってくるわけですが、次の足場が良く見えないときもあったりして、多少無理やりにつま先を蹴り込んで足場を確保して下りたりしました。途中にある巨岩の上で、巨岩の右側に移動しなければいけないところを見逃して下りすぎ、登り返したりもしつつ、なんとか無事に通過することができました。安全な場所まで来てあらためて核心部を振り返ると、よくあんなところを下ってきたもんだと思いました。


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10:44 八合目まで下りてくると、喉がカラカラで疲労感もどんよりと体にのしかかってくるような感じだったので、荷物を下ろして休憩することにしました。核心部の通過で、思った以上にストレスを感じていたようです。


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風が当たりにくい少しへこんだ場所に座って、背中側にバックパックを置いて風よけにしながら水分補給と行動食でエネルギー補給をしながら振り返ると、石碑の向こうにどっしりとそびえる甲斐駒ヶ岳に言いようのない荘厳な存在感を感じ、この山が信仰の対象となった理由をなんとなく理解できたような気がしました。


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11:24 八合目からは新雪の斜面をガシガシ降りて、七丈小屋まで一気に下りました。出発時間が1時間遅くなった分、到着時間もきっちり1時間遅れました。


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小屋に入って、時間短縮のために行動食を食べながらデポしていた荷物をパッキングしていたのですが、結局すべて終わって出発の準備が整うまで1時間以上かかってしまいました。最後に、12本爪クランポンを装着して準備完了です。



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12:47 急ぎ七丈小屋を出発しました。12時には出発して17時半頃には登山口に着きたいと思っていたのですが、もはや日暮れ前に着けるかどうかのレベルです。下山は膝痛が出てペースダウンせざるを得なくなる可能性が高いのでできるだけ早く出発したかったのですが、今考えてもなぜこれほど時間がかかったのかさっぱりわかりません。


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13:09 七丈小屋の下にある難所をクリアし、橋まで下りてきました。休憩は次の五合目上の難所を過ぎてからとることにして、そのまま先を急ぎます。


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鎖場と梯子の連続する難所を慎重にこなし、最後の長い梯子の上まで来ました。あとは、この梯子を無事に下りきればクリアです。


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13:42 五合目の鞍部に着きました。予定では七丈小屋から五合目まで50分ぐらいとみていたのですが、おおむね予定通りのペースです。


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黒戸山への登り返しが始まるところで、小休止をとりました。


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ここで、もともとランチ用にもってきていたカレーパンを食べました。本当は甲斐駒山頂から小屋に戻ってきたときのランチに食べるつもりだったのですが、時間短縮のために行動食を食べたので余っていたわけです。カフェオレも作って飲みたいところですが、水も時間も無いのでカレーパンを水で流し込むだけにしました。


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休憩を10分で切り上げて、黒戸山への登り返しに取り掛かりました。標高差ではわずか50m程度ですが、けっこうきつい急登です。


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15:06 黒戸山北側の水平区間を足早に通過して、刀利天狗下の難所も無事に通過した後、最後の難所となる刃渡りまで来ました。クランポンも装着したままなので、問題なくクリア。少し痛み始めた左膝をかばいつつ先を急ぎます。


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15:20 刃渡りを過ぎて、標高2000m地点にある広場のような場所で休憩をとることにしました。そろそろ座って休まないと左膝が本格的に痛み始めかねません。丸太のベンチに座って膝のマッサージをしっかりとしておきました。


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16:09 標点1628近くの鞍部で再び休憩をとりました。登ってくるときにも休憩をとった石碑の様なものがあった場所です。膝のマッサージとストックで膝への負担を軽減しながら下ってきたおかげか、膝痛はひどくなることなく、いまのところ歩行に影響がでるほどの痛みは発生していません。念のため、ここでもしっかりとマッサージしておきました。また、ここでクランポンは外しておきました。まだ少し雪や凍結した場所はありそうですが、この先は滑落するような急斜面はなかったはずなので、クランポンがドロドロになって爪が摩耗しないように、早めに外すことにしたわけです。


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16:44 笹の平に着きました。標点1628直下はまだ登山道に凍結した雪が残っていましたが、ここまでくると雪はほぼなくなり、早めにクランポンを外しておいて正解でした。休憩するほど疲れていなかったので、ここは通過です。


17時過ぎに標高1340m地点で一度座り休憩をとりましたが、その後はノンストップで下りてきました。座って休憩をとりたい気持ちもありましたが、一度座ると立ち上がれなくなるような気がして、自分の脚ではないような感覚の脚をただひたすら前に出すだけでした。幸い膝痛は悪化することなく、途中凍結した土で滑って転倒しかけたりもしましたが、なんとか歩行を妨げるような傷病をかかえることなく降りてこられたのは、無理なくマイペースでゆっくりと歩くことができたおかげかもしれません。


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18:14 ようやく尾白川渓谷遊歩道との分岐まで下りました。まだ肉眼で周囲は見える程度の明るさはありましたが、さすがに脚元の細かい状況がわからなくなってきたので、ヘッドランプを少し先から灯しました。もちろん裸眼ではよく見えなくなってきたので、メガネも使っています。ここから、尾白川の吊り橋まで激下りとなりますが、これが最後の試練です。


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18:32 吊り橋まで下りてきたころには、さすがに周囲はどっぷりと暗くなっていました。しかし、ここまでくればゴールは目前です。暗闇でさえ何のストレスにもなりません。


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18:45 やっと、やっと、長い1日が終わりました。起床してからほぼ15時間ちかくになります。休憩込みとはいえ行動時間は12時間を超えました。さすがに、疲れました。自販機で買った暖かいジュースでようやく生き返ったような気分になりました。


とりあえず、入山前にも立ち寄った道の駅 信州蔦木宿で温泉に入り、そのまま車中泊させてもらうつもりで向かったのですが、なんと火曜日定休で温泉に入れなかったので、それならということでそのまま下諏訪まで行き、温泉に入って諏訪湖畔で疲れた体を癒したのでした。

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2023/03/17

日本三大急登に挑む! 雪の黒戸尾根: 甲斐駒ヶ岳その3 

2023年3月6日(月)~7日(火) 山梨県北斗市 甲斐駒ヶ岳(標高2967m) 小屋泊単独行 


7日の朝は4時過ぎに起床しました。予定では5時に出発し、8時過ぎに登頂。七丈小屋には10時30分頃戻り、11時には出発して、16時30分頃下山完了となるはずでした。しかし、せっかく早く起きたのにもかかわらず、お湯を沸かしたり、朝食を食べたり、着替えて荷物をまとめたりしているうちにいつの間にか5時を過ぎてしまいました。それでも、15分程度の遅れなら問題ないと思っていたら、出発直前になって急にもよおしてしまい、トイレにいったりしているうちに、なんと6時を回ってしまいました。


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ちなみに、朝食はカップ麺で簡単に済ませました。


6:11 いったいどうしてこんなに時間が経ってしまったのかと、意味もなく憤りながら第2小屋の前のベンチでクランポンを装着し、ようやく出発の準備が整いました。


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鳳凰三山の向こうの空が赤く染まり、日の出が近づいています。まだ暗いうちに歩きはじめるつもりでヘッドライトをヘルメットに装着しておいたというのに、すでに明るくなってヘッドライトは必要なくなっていました。できれば剣が刺さった巨岩のところで日の出の写真を撮りたかったのですが、もはやそんな時間はありません。


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とにかく、急いで出発です。第2小屋前から梯子を登り、八合目に向かいます。


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せめて八合目で日の出をと思っていましたが、テント場まで来たときに太陽が顔を出してしまいました。テント場には幕営跡が残されていて、この時期にテント泊装備で登ってくる人も案外いるようです。この長大で険しい黒戸尾根を冬のテント泊装備で登るなんて、自分としては挑戦したいとは思いませんが、20年前ならやってみるかもしれません。


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テント場からのルートはかなりの急斜面で、それを直登するハードな区間でした。そのうえ、雪がサラサラでクランポンの爪もいまいち食いつきが悪く、朝から体力を消耗させられました。


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急斜面を登り切り、少し傾斜が緩むと、目の前に甲斐駒ヶ岳が姿を現しました。これからあの上まで登るのかと思うと、気が引き締まります。



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7:15 八合目らしきところに着きました。八合目を示すようなものは何もありませんでしたが、鳥居の脚のような石柱と、石碑が立っているので、ここが八合目の御来迎場なのでしょう。


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立ったまま少しの時間ドリンク休憩をとり、すぐに出発します。


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しばらくなだらかな尾根を進んで行くと、目の前に巨岩が林立する小ピークが現れました。これを越えていくのかと思うとちょっとげんなりですが、幸いにもこのピークは右手から岩の下を巻いて行くことができました。


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しかし、その先にちょっと面倒な箇所が待っていました。腰よりも高いぐらいの大きな岩を乗り越えていかないといけない場所です。鎖がかかっているのでまだましですが、足場となる岩は手前に傾いていて、しかも凍り付いた雪が貼りついているので、わりと厄介な段差でした。


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7:40 その先は徐々に狭くなっていく尾根を辿り、とうとう核心部への取りつき箇所までやってきました。右上に剣が刺さった大岩が見えるので、この巨岩の間を縫うようにして急斜面を這い上がるんだろうなということはほぼ予測がつきます。ただし、ここからはトレースが見えないため、どういうルートなのか、どこを登るのかがわかりませんでした。ちなみに、中央に見える巨岩までは尾根を渡っていくのですが、巨岩の右側を巻いて登るトレースは見えているものの、その先はわからない状態です。右手の雪面にトレースは見えなかったので、おそらく左手の斜面を登るのだろうと想像していました。


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巨岩の下を右下から巻いて登って行いきます。


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その先で左下の斜面にトレースは続いていました。斜面に降りてみると、下は遥か彼方まで続く滑り台のような谷筋で、その絶壁のような谷筋を直登するというわけです。少し登ったところで一息つける場所があったので、遥か下まで続く斜面を写真に撮ってみましたが、改めてみてもけっこう恐ろしい場所です。落ちたらまず助からないこの急斜面をさらに上へと登ります。


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7:59 ようやく核心部の雪壁を登り切り、安心できる場所まで来ました。急斜面に取りついてから15分程度しか経っていませんが、もっと長い時間をかけて登ってきたような気がします。


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見上げれば、剣が刺さった巨岩がすぐ先にあります。さらにその先の遥かな高みに甲斐駒ヶ岳がそびえているのが見えます。


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8:06 剣の刺さった巨岩の上まで登ってきました。ちょうど太陽が剣に重なるような場所にあり、これはこれでいいタイミングだったのかもしれません。


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鳳凰三山と富士山を背景に入れたカットも撮っておきました。しかし、やはり日の出前の赤から濃紺へと移り変わるグラデーションの空をバックにした写真や、日の出直後の写真も撮りたいという気持ちもあり、雪がない時期にもう一度来てみようかという気になってきました。なぜ雪のない時期なのかというと、逆光の撮影になるため雪のあるなしは写真に写らないので、それなら気温の低い厳しい積雪期である必要はないからです。荷物も軽くて済むし、そのほうが撮影に専念できそうです。


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剣の刺さった巨岩の所で10分ほど休憩してから出発しました。一段登るとちょっとした平地があり、その先は岩場の連なる稜線となりました。ここから先は比較的楽に行けそうです。


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1か所だけ、段差のある岩場を通過するのにやや面倒な箇所がありましたが、それいがいは比較的楽に通過して、山頂の祠が見えるところまでやってきました。右奥の方にも祠のようなものがあるように見えるピークがあり、どっちが本当の山頂だろうと少し迷ったりもしましたが、以前登った時の記憶では、確か手前のピークに見える四角い祠が甲斐駒山頂の祠だったと思うので、さすがに手前のピークで間違いはないだろうと納得しました。ちなみに、右奥に見えるピークにあるのは、祠ではなく岩でした。今年に入ってから、山に登るときはコンタクトレンズをしないで裸眼のまま登っているので、遠くの方は良く見えないという問題があります。幸い、足元や近くであれば困らない程度に見えるので、裸眼でも問題はありません。ただし、暗くなると細かいところまではわからないので、その場合はメガネを使います。


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左手には、あいかわらず鳳凰三山と富士山が重なって見えていましたが、とうとう富士山が頭一つ高く見えるようになりました。


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駒ケ岳神社奥社のある山頂手前のピークまで来ると、山頂は目と鼻の先です。少し下で同宿の2人組とすれ違ったので、おそらく山頂は無人のはずです。


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9:08 甲斐駒ヶ岳山頂に着きました。日本三大急登のひとつで、標高差2200mというダントツトップの標高差をもつ積雪期の黒戸尾根を無事に踏破することができました。もう1週間早ければ厳冬期での登頂でしたが、まあ実質的にはほぼ厳冬期といってもいいような気温ではあります。もっとも、山頂は日当たりが良く意外と風が弱かったので、途中の尾根筋と比べれば全然寒くありませんでした。


ちなみに、2014年9月に踏破した北アルプス三大急登のひとつに数えられる剱岳の早月尾根の標高差は2238mと、黒戸尾根を上回ります。単純な標高差でいえば、海抜0mの海辺からスタートし、標高2932mの白馬岳まで続く栂海新道が日本で一番かもしれませんが、急登という意味ではちょっと違うかなという感じです。栂海新道も一度は歩いてみたい道ではあります。



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山頂からの展望をゆっくりと楽しみました。こちらは仙丈ケ岳です。仙丈ケ岳は厳冬期に登頂した唯一の3000m峰になります。


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そして、南アルプスの3000m峰たちです。蝙蝠岳は2865mですが、こうしてみると居並ぶ3000mの峰々に負けない存在感があります。


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登ってくるときにずっと左手に見えていた鳳凰三山と富士山です。薬師岳は観音岳の背後に隠れて見えません。


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八ヶ岳を見下ろす高さにいるということを実感した瞬間でした。


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遥か彼方に見える北アルプスの高峰群です。ひときわ高い奥穂高岳を中心に、名峰が連なります。


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北アルプスの南端に、少し離れて乗鞍岳。


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中央アルプスの奥には、御嶽山も見えていました。


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そして、道端の木曽駒ケ岳から連なる中央アルプスの峰々です。これらの峰々を眺めながら、岩に座って行動食を食べながら、飽きることなく居並ぶ名峰群を眺めていました。

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つづく。


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2023/03/15

日本三大急登に挑む! 雪の黒戸尾根: 甲斐駒ヶ岳その2 

2023年3月6日(月)~7日(火) 山梨県北斗市 甲斐駒ヶ岳(標高2967m) 小屋泊単独行 


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14:13 黒戸山からのきつい急傾斜を下ると五合目の鞍部です。狭い鞍部を渡り、目の前にそびえるピークへの取りつき点まで来ると、噂に聞く長く急傾斜の梯子が待ちかまえていました。上の方は梯子段の間が雪で埋まっていて、脚を置く場所があるのか怪しい状況です。ストックをたたんでソースリングとカラビナで腰に装着してから、梯子に取りつきました。


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予想通り梯子の上の方は雪がつまっていて脚を置く場所がほとんどなく、クランポン前部のツメを雪に蹴り込んで登るような状況でしたが、なんとか無事に登り切りました。上からのぞき込むとほぼ絶壁です。ここを最初に登った人はどうやって登ったのでしょうか。しかも、ロープなんてない大昔の修験者でしょうから、いまでいうフリークライミング状態で登ったのだとしたら、まさに命がけです。現代ならフリークライミングで世界のトップクラスに入るほどの強者だったのかもしれません。


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長い梯子の後は、これまたロープがかかる急斜面が続きます。梯子とロープや鎖のかかる急斜面の連続するところは、刀利天狗手前の難所と同じです。


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14:43 梯子や急斜面をいくつも越えて、ようやく平坦な場所に出てきました。どうやら五合目の難所は突破したようです。この先しばらくは緩やかな尾根道が続きます。


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14:58 しかし、再び試練の時が訪れました。別のピークが前方に立ちふさがり、切れ落ちた細い尾根に渡された橋の先に急登が続きます。




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橋を渡り、梯子を越えて登って行くと、ほぼ垂直な壁にかかる梯子が待ち構えていました。下の梯子は斜めに渡されていますが、この梯子からほぼ垂直な梯子に乗り移らなければならず、足場が少し不安定になります。クランポンの爪がしっかりと梯子にかかっているのを確認しながら1段ずつ登り、登り切ったところでほっと一息をつくことができました。写真は上から覗いて撮ったものです。


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しかし、梯子はまだまだ続きます。この梯子を登った後がこの難所の核心部でした。


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足場が狭く、カメラを出しても全体を撮ることができないため、登り切って上から俯瞰で撮った写真です。ちょっと狭いだけの水平な岩場のように見えますが、これはカメラをほぼ真下に向けて撮ったものです。ここは小さな足場があるだけのほぼ垂直な岩を鎖を頼りに登ることになり、バランスを崩して体が左右にぶれると結構やばい場所です。しかも岩にある最初の足場の段差は大きくて、体の小さい人にはなかなか厳しい場所です。そこを慣れないクランポン装備で這い上がるので、難易度はさらに高くなります。しかし、この核心部を過ぎると梯子や鎖場はなくなり、それなりにきつい傾斜ではあるものの歩きやすい道になりました。


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15:32 小さなカーブを曲がると目の前に小屋が現れました。意図的にゆっくり登ってきたとはいえ、8時間40分もかかってしまいました。無雪期のコースタイムが6時間40分なので2時間も余計にかかってしまいました。とにかく、今日の行程はこれで終わりです。あとは小屋に入ってのんびりするだけです。


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ちなみに、この時の気温は-4度でした。予報だと1度ぐらいだったはずですが、すっかり真冬の気温です。


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七丈小屋には第1小屋と第2小屋の2棟がありますが、この日は宿泊者が3名だけということもあり、第1小屋の方に通されました。僕は自炊の素泊まり、他の2名は食事つきの宿泊でしたが、自炊も同じ食堂でさせてもらうことができました。金属のトレーを渡されて、この上でガスを使ってくださいということでした。小屋によっては自炊は屋外や寒い土間でやらされることもあるので、暖かい室内で自炊をさせてもらえるのは助かります。夕食のメニューは、アルファ米のドライカレー、インスタント味噌汁、魚肉ソーセージ、スライス餅でした。


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今回は、プリムスのP-115フェムトストーブと小型の110ガスボンベを持ってきたのですが、予報が外れてすっかり冬の気温だったこともあり、ガスが気化しにくく火をつけるのに少し手間取りました。困ったのはP-115の点火装置が全く役に立たなかったことです。2月22日の伯耆大山では一発で火が付いたのですが、なんどやっても全然火がつきません。この傾向は前からわかってはいたのですが、それでもいままでは何度かカチカチやれば火がついていました。ガスの出もせき込むような感じで良くなかったので、それも一因かもしれません。それで、ガスボンベを手で温めたりしたのですが、それでもやっぱりだめでした。もう一つのP-121は気温や標高に影響されることなく、いつでもどこでもすぐに火がつくので高山に登るときはP-121をもってくるのですが、今回は軽量化を優先してミスってしまったようです。


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仕方がないので、以前購入したSOTOのポケトーチで火をつけようとしたら、ポケトーチの方もまったく火がつきません。電子着火式ライターは冬場の高山では役に立たないという話は聞いていましたが、まさかこれほどとは思いませんでした。温めればなんとかなるかと思い、胸の内ポケットに入れてしばらく温めてからもう一度着火を試みました、やっぱり駄目でした。というわけで、最後はやっぱりマッチのお世話になりました。なんだかんだ言っても、一番アナログなものが厳しい環境下では役に立つということで、下山後にさっそくマッチを追加購入しておきました。


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夕食後、17時40分頃鳳凰三山がきれいだと他の宿泊者が教えてくれたので、カメラを持って写真を撮りに出てみました。七丈小屋の前からちょうど鳳凰三山が見え、左後ろに夕日に赤く染まった富士山も見えていました。


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19時頃、もういちどカメラを持って鳳凰三山の星景写真を撮りに行ってみると、肉眼では真っ暗だったのに、写真を撮るとまだ空に青みが残っていました。どちらにしてもほぼまん丸の月が煌々と照っていたので星はあまり見えないだろうということで、月明かりに照らされる鳳凰三山と甲府の夜景をカメラに収めて小屋に戻り、すぐに就寝しました。

つづく。


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2023/03/14

今年も確定申告が完了

3月11日に帰宅してから、なんだかやたらと忙しかった数日間でした。まずはメルカリで売れた商品を12日中に発送しなければならず、梱包してヤマトの営業所に持って行って発送完了。次に、建築士事務所の登録更新手数料を払いに郵便局へ行って、自宅に戻ってから登録更新の書類を作成。ついでに毎年提出が義務づけられている業務報告書も作成し、2つをまとめて再び郵便局へ行って発送を完了。今考えるとネット銀行の口座から振り込めば手数料もかからなかったし、手間も省けたのではと思いますが、郵便振替の手続ってネット銀行からでもできるのか、確認しておく必要があります。


で、最後に残っていたのが、青色申告書の作成と確定申告の手続きです。青色申告書の方は信州遠征の前にほぼ終了していたので、残っていた税金関係の入力を済ませて決算書を作成するだけでしたが、昨年購入したN-VANの固定資産登録がちゃんとできていなかったらしく、エラーが出て決算書を作成できません。どういうことだと思いましたが、新しく固定資産を定額法で登録したのは前のN-BOX+の時以来10年ぶりなので、なにをへましているのかがわからず、しばらく悩みました。ようやく、固定資産の登録はしたものの、車の購入費用を計上していなかったことに気が付いて、無事に決算書を作ることができました。



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そして、そのまま確定申告書を作成しいざe-Taxで送信しようとしたら、やよいの青色申告ソフトの今年のバージョンが送信手順を勝手に変えていて妙に手間がかかってけっこうムカつきました。というのも、昨年は、PCにカードリーダーを接続し、マイナンバーカードを読ませてそのままPCだけで完結していたのに、今年は送信ボタンをクリックしたらいきなり2次元バーコードをスマホで読み込ませろという画面がでてきて、スマホで読み込ませたらやよいの電子署名アプリをダウンロードしろと言われ、ダウンロード後にしばらく待たされた挙句、今度はスマホでマイナカードをスキャンしろと言い出す始末。イラストどおりにスマホをマイナカードに載せても全然スキャンできないし、どうなってんだとおもってアプリ画面の注意書きをよく見てみると、アンドロイドは機種によって読み込める場所が違うからスマホを動かしてみろと書いてありました。少しスマホを動かしてみると突然スキャンが開始され、あっというまに送信が完了しましたという画面が出て、これで終わりかよ!って感じでした。


ほんと、事前に説明もなくこんなに好き勝手にころころやり方を変えられると、デジタル機器に疎い人は途方に暮れるに決まっています。せめて、前回のやり方も選択できるようにしておくべきでしょう。結局、今年のやり方だとカードリーダーは必要ないことになり、昨年わざわざ購入した意味がありません。それよりも、まだガラケーを使っている人だったら、送信することすらできないわけで、国税局のWEB画面の青色申告書作成サイトで入力しなおさなければいけなくなるところです。ソフト屋が勝手にスマホ利用前提の機能に変えてしまうとは言語道断と言わざるを得ません。


まあ、なにはともあれしなければならないことがすべて終わったので、とりあえずひと安心です。これで、こころおきなく甲斐駒ヶ岳の山行記録の続きを書くことができますが、今日はさすがに疲れたので、明日からということでご容赦願います。


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2023/03/12

日本三大急登に挑む! 雪の黒戸尾根: 甲斐駒ヶ岳その1 

2023年3月6日(月)~7日(火) 山梨県北斗市 甲斐駒ヶ岳(標高2967m) 小屋泊単独行 


2020年の正月に登るつもりだった甲斐駒ヶ岳に、3年越しで挑戦してきました。3月6日から4日間ほど晴天が続く予報だったので、このチャンスを逃すまじといことで5日に岡山を出発。小淵沢近くの道の駅で一晩過ごした後、6日早朝に尾白川渓谷の登山口に着きました。


夜中けっこう雨が降っていましたが、幸いにも朝には止んでいました。予報では、6日の朝には雨が上がって晴れ間が出るはずでしたが、空は相変わらずの曇り空でした。


装備リスト
●アッパー
 ドライレイヤ: ミレー ドライナミックメッシュ3/4シャツ
 ベースレイヤ: アイベックス ウーリーズ150ロングスリーブ
 ミドルレイヤ: なし
 ソフトシェル: マムート アルティメイトアルパインフーディ
 ハードシェル: マムート スリルトリップジャケット
 インサレーション: バーグハウス ラムチェマイクロダウンジャケット
 グローブ: アウトドアデザインズ silkonグローブ/マムート メロングローブ/セイラス エクストリームオールウェザーグローブ
 キャップ/ハット: マムート サブライムビーニー

●ボトムス
 ドライレイヤ: なし
 ベースレイヤ: モンベル ジオラインEXP.タイツ
 ミドルレイヤ: なし
 ハードシェル: マムート ゴアテックスクァンタムストレッチパンツ
 インサレーション: モンベル ULダウンパンツ
 ソックス: バーグハウス メリノウール トレッキング ソックス
 シューズ: スポルティバ トランゴアルプGTX
 ゲイター: マムート ゴアテックスゲイター

●ギア
 バックパック: マムート トリオンプロ35+7L
 ストック: ブラックダイヤモンド トレイルコンパクト
 ワカン: なし
 クランポン: グリベル エアーテックニューマチック
 アックス: ブラックダイヤモンド ベノムアッズ ウィズ リーシュ
 ヘルメット: グラビティリサーチ アルパインヘルメット
 寝袋: ドイター アストロ -2


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事前の天気予報では、山頂付近で-8度と低かったものの、2000m付近では氷点下ではなかったので、晴天予報であることからして陽射しがあればあまり寒くないだろうと判断し、3シーズン用の靴であるトランゴアルプGTXと中厚ソックスにしたのですが、これは失敗とは言い切れないものの、正しい判断だったともいえないビミョーな結果でした。というのも、かなり足の指が冷たく痛い思いもしたものの、ずっとそうだったわけではなく、山頂では何も問題ありませんでした。また、登山口から標高1500mあたりまでの長い尾根道歩きでは厳冬期用の靴よりは確実に歩きやすかったと思います。とはいえ、3月頭は時期的にはまだ厳冬期のなごりが色濃い時期なので、やはり厳冬期用の靴とソックスにしていおいたほうが安心といえそうです。


小屋泊りでしたが、寝袋持参が前提ということだったので、久しぶりに3シーズン用のドイター アストロ-2を持っていきました。この時期の標高2300m付近の小屋で使うには保温力が低すぎますが、七丈小屋は夜間もストーブをつけたままにしてくれるため、3シーズン用寝袋にダウンジャケットとダウンパンツを着て寝ることで寒さを感じることはありませんでした。


入山時は天気があまり良くない可能性があったので、グローブは防水のセイラス エクストリームオールウェザーグローブを使いました。このグローブを使うのは、2014年8月に剱岳別山尾根の下りで雨に降られた時以来です。幸い本降りの雨に合うことはありませんでしたが、前夜雪が降りその寒さが残る中、防寒性能もそこそこあって七丈小屋までこのグローブだけで登ることができました。もっとも、氷のような梯子や鉄の鎖を掴むとかなり指先が冷えて痛みもあったので、万全とはいえませんでした。







クランポンは、雪壁をよじ登るような場所は八合目付近の一部だけで、あとは梯子や階段、尾根歩き、岩場の通過が多いというルートであることを考慮し、爪が短めのグリベル エアーテックニューマチックを使いました。2017年からペツル サルケンLLUを使うようになって、グリベルのベルトをロックするリング状の金物(バックル)が使いづらいなと感じているのですが、今回やっぱりそれを感じました。特に冬用のグローブをしているとペツルの方が操作しやすいと感じます。極端に違うというほどではないものの、これからクランポンを購入しようとする人は、金具の操作感を店舗でよく確かめて決めることをお勧めします。 (注:2022年モデルからバックルとバインディングの形状が改良されたようです。使い勝手がある程度は改善されているのではないかと期待するところです。)


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GRIVEL(グリベル) エアーテックEVO・ニューマチック GV-RAATNME
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日本三大急登のひとつに数えられる黒戸尾根ですが、地形図を見た限りでは標高2000m付近に等高線の間隔が狭く細い尾根がある(刃渡りから刀利天狗の区間)ものの、標高2254mの黒戸山を過ぎるところまでは比較的緩やかな尾根道が続いているように見えます。ただし、黒戸山を過ぎていったん鞍部に下るとそこから先は、2度の急登が待ち構えています。


小屋泊で荷物が少ないとはいえ、七丈小屋まででさえ標高差は1590mもあるというのに果たして無事に小屋までたどり着けるのか、そしてその先の雪に覆われたリッジを越えて山頂を踏むことができるのか、不安の種は尽きませんが、もはや行くしかありません。


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6:50 尾白川渓谷の駐車場を出発します。登山届も忘れずに提出しておきました。


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途中にある竹宇駒ケ岳神社に道中の安全を祈願して行くことにしました。決して信心深いわけではありませんが、こういうときだけ神頼みというのも調子のいい話です。大きなイベントごとのあるときには神様に頼るという典型的日本人ってことでしょうか。


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神社の左側を回り込むと、吊り橋です。これを渡ると登山道が始まります。


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吊り橋を渡り、登山道を進みます。


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登山道は猛烈な急傾斜の斜面をジグザグに登って行きます。スタートから日本三大急登の黒戸尾根の洗礼を受けます。歩きはじめの30分ぐらいはのんびりゆっくり歩いて体を慣らすのが自分のスタイルなので、スタート直後の急登はあまり得意ではありません。


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7:41 急登をなんとかこなし、道がなだらかになったところでベンチ代わりになるいい岩があったので、小休止をとりました。今回は小屋泊まりなので荷物はコンパクトにまとめて、いつも積雪期の日帰り登山で使っている35リットルのバックパックで来たのですが、それでも寝袋があるし、一眼レフ、交換レンズ、三脚、水1リットル、クッカー&バーナーなどがあるため、15kgぐらいになってしまいました。一眼レフは中に入らないし、もともと動画、記録写真もすべて一眼レフで撮ることにしたので、胸に外付けのカメラケースを利用しています。


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8:27 小休止した場所からは比較的緩い登りが続いていて、ときおり少しきつい場所を織り交ぜつつ、だらだらと尾根筋を登ってきました。ちょうど、道がほぼ水平になっているところでベンチ代わりの倒木があったので、2度目の休憩をとりました。休み過ぎのような気もしますが、なにしろ長丁場だし、今日は七丈小屋までなので急ぐ必要はありません。たっぷり時間をかけて疲労をためないように登るという戦略です。本番は明日です。


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9:47 笹の平に着きました。ここは、横手駒ケ岳神社へ続く横手道との分岐点です。うっすらと雪がありますが、昨晩降っていた雨は、このあたりから雪になっていたようです。


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ここに着く30分ぐらい前に雨がぱらつき始め、万一急な本降りになって体を濡らすとやばいのでハードシェルジャケットを着て、バックパックにもカバーをかけて登ってきたのですが、どうやら雨もほぼ止み始めたので、ここでハードシェルジャケットをもう一度脱ぎました。さすがに暑くなってきたというのもあります。


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10:22 標点1628の西側にある小さな鞍部まで来ると、石碑のようなものがありました。ここは平坦でちょっとした広場のようになっていて、ベンチ代わりの丸太も設置されていたので、4本爪クランポンの装着を兼ねて休憩して行くことにしました。


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積雪深は数cmといったレベルですが、びっしりと積もっているのでそろそろ必要だろうという判断です。


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休憩後、すぐにけっこうな急登が始まり、4本爪クランポンを装着した判断が大正解でした。あのままクランポンを装着せずに出発していたらかなり手こずったことでしょう。標点1881までの区間は、ずっと滑りやすい急登が続くので、雪がある場合は標点1628でクランポンかチェーンスパイクを装着しておいたほうが楽です。ちなみに、この急登は八丁坂というそうです。


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11:35 ようやく八丁坂の急登が終わり、なだらかで広い尾根に出ました。ちょうど標点1881付近です。前屏風の頭という名前がついているようですが、ピークというよりもなだらかな丘といった雰囲気です。ここにきてようやく青空が覗き、日が差し始めたので、ちょっと早いランチタイムをとって行くことにしました。


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少しトレースから外れて、風が当たらず日が当たる場所に荷物を下ろしてランチタイムです。


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今回、すべての撮影を一眼レフだけでやることにしたのはいいものの、やはりでかくて重い一眼レフは扱いが面倒です。とくに、自撮りなどはわざわざ三脚をださないとできないため、こういう休憩時でないと撮れません。なので、この山行中に自撮りしたのはこのときだけです。ランチは持ってきたアップルパイを1つ食べただけで、簡単に済ませました。ちなみに、ヘルメットはなんでかぶっているかというと、バックパックにレインカバーをかけるために、取り外さざるを得なかったためです。


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12:22 ランチ休憩を終えて20分ほど歩いたところで、刃渡りと思われる場所に来ました。


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新雪が積もったナイフリッジの岩尾根ですが、鎖もあるしトレースもしっかりとついているため、それほど危険な感じはしませんでした。そのため、うかつにも一眼レフを右手に持ったまま動画を撮りながら登り始めたら、いきなり足が滑って前のめりに倒れかけてしまいました。やはりなめたらだめですね。


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というわけで、登りながら動画を撮るのはあっさりやめました。


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刃渡りを過ぎると、普通の尾根になるのかと思いきや、けっこう長く狭い岩尾根が続きます。見た目にはあまり危ない感じはないのですが、横はそこそこ高さのある切れ落ちた崖になっていて、油断は禁物です。


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ようやく岩尾根が終わったと思ったら、急傾斜の崖にへばりつくような梯子の道でした。いよいよ黒戸尾根が本性をむき出しにしてきたような感じです。


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梯子を登りきると、その先は再び梯子のかかる崖が続きます。


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さらにその先は雪が貼りついた鎖場となっていて、なかなかの難所でした。


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12:57 梯子と鎖場の難所を抜けたところで、祠のある場所にでました。どうやらこれで難所は終わったようです。ちなみに、この時は気が付かなかったのですが、ここが刀利天狗でした。なんとなく、刃渡りを含めたこの難所全体を刀利天狗というのかと思っていたのですが、そういうわけではなかったようです。


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刀利天狗はちょっとした平坦地になっていたので、ここで12本爪クランポンを装着することにしました。というのも、雪がべたついて靴底に雪が下駄の様に張り付いて歩きにくいうえに、急坂でグリップが効きにくくなってきたためです。刀利天狗下の難所はなんとか突破できましたが、この先より厳しい難所が出てくることを考えると、もはや4本爪は限界です。


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今回持ってきたのは、グリベル エアーテックニューマチックですが、使うのは2021年5月の乗鞍岳以来です。


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踵のバインディングを締めると、ある程度外れにくくなるので前後ベルト締め方式よりもフィット感はいいのですが、やはり前後ともバインディングタイプに比べるとベルト締めの手間などがちょっと面倒です。


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刀利天狗から先も、多少傾斜のきついロープが設置されたところがあったりしましたが、その後は徐々に傾斜が緩くなり、ほぼ等高線に沿った水平な道が続きました。ここは黒戸山の北側をトラバースする区間で、かれこれ15分ほど歩いてようやく道が下り始めました。これを下りきると五合目になります。


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14:04 かなりきつい斜面を下って行くと、不意に木々の隙間から甲斐駒ヶ岳が姿を現しました。しかし、その手前に大きく立ちはだかるピークがあり、おそらくこれを越えていかなければならないはずです。そして、このピークから黒戸尾根の本当の難所が始まります。

つづく。

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2023/03/08

無事下山

昨日、甲斐駒ヶ岳から無事に下山しました。快晴の下、山頂を踏んだものの、今度は山頂から一気の下山となり、長大な黒戸尾根に辟易しながら、すっかり暗くなった頃ようやく登山口にたどり着きました。

今日も良い天気ですが、疲労と筋肉痛で登山なんて不可能なので、諏訪湖畔でのんびり静養中です。




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2023/03/06

七丈小屋にて

今、甲斐駒ヶ岳黒戸尾根にある七丈小屋にいます。今日朝7時前に入山し、15時半に小屋に到着しました。長く険しい黒戸尾根にはすっかり打ちのめされましたが、幸い明日は快晴になるようなので、頑張って山頂を目指します。





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2023/03/04

伯州山+高清水トレイル後編の動画公開




ちょっと日が開いてしまいましたが、伯州山+高清水トレイル後編の動画を公開しました。後編は、伯州山から高清水トレイルのブナの谷頭までの往復と、伯州山からの下山の様子をまとめています。

今回初めてコンデジ PowerShot G7XmarkⅡで動画を撮影したわけですが、光学式手振れ補正が動画撮影でも思いのほか優秀で、下手なアクションカメラと同等以上といってもいいぐらいの性能があることを知りました。音声の方もスマホで撮影した場合はなんか変な声だなと思っていましたが、G7XmarkⅡで撮影したものはスマホよりもいいかなという感じです。前編の前半部分はスマホの撮影でしたが、この動画は全編G7XmarkⅡでの撮影です。







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2023/03/03

最近楽天で購入した登山用品:4本爪クランポンのプレート他




2月12日の剣山で紛失したマウンテンダックスの4本爪クランポンHG-121のスノープレートですが、先日なにげに楽天のオクトスのページを確認してみると再入荷されていたので、さっそく購入しました。これでわざわざ自作しなくてもまた使うことができます。送料220円だったので、プレートだけ購入しても良かったのですが、ついでに何か必要なものがあれば買って、送料無料にしてもいいかとサイト内を一通り見て回ったところ、必要だなと思えるものがいくつかあり、合計で送料無料となる3980円をわずかに超える額に収まるので、あわせて購入しておきました。


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本日届いたので、中身の確認です。まずは、4本爪クランポンにプレートです。商品説明には片足分の写真とプレートのみの販売ですとしか書かれていなかったのですが、購入時に左右を指定する項目がなかったので両足分の2枚1組だろうと判断して購入したら、やっぱりそうでした。ちょっと心配だったのが、取付けるための金属のクリップが付属しているのかどうかでしたが、こちらもちゃんと付属していました。なので、このまま取り付ければOKです。





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というわけで、さっそく取り付けてみました。


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まずは、後ろ側の金属クリップを穴に通し、プレート前側のでっぱりを同様に穴に通します。


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このとき、履くときに右左がわかるように、上側に左と書かれた足形の面が来るようにします。


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あとは、金属クリップを押し曲げて本体に固定します。説明書きには指で押し曲げてと書いてありますが、ペンチなどを使った方が楽です。


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さて完成と思いながら、何気にオクトスの商品ページのHG-121の写真を見ていたら、クリップの曲げる向きが上向きになっているではありませんか。実は、クリップを曲げるときに下向きだと歩いているうちにクリップが削れるからプレートが紛失するのも当たり前だよなといまいち納得していませんでした。


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では、なぜ下向きに曲げたかと言うと、右のほうが下向きに曲げてあったからです。右側は購入以来プレートを紛失したことは無く、クリップをいじったこともありません。ということは、購入時から間違った向きにクリップが曲げられていたということです。こんな品質のものを出しているから倒産するんだよ、マウンテンダックス!


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というわけで、両足とも上向きに修正しておきました。金属疲労で劣化しないように、ゆっくりと力を入れながら逆方向に曲げたので、とりあえずすぐに割れてしまうことは無いだろうと思います。



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ついでに買ったものの2つ目は、コードロックです。登山用だけでなく、写真関係のケースだったり、バイク関係だったり、いくつかコードロックが壊れてしまったものや、新たに使いたいものなどあったので、6個まとめて買っておきました。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

Woojin(ウージン) コードロック Large
価格:66円(税込、送料別) (2023/3/2時点)





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3つ目は3mmの細引きです。日帰り山行時に携帯している1人用ツェルトですが、使用する場合にテント状に張るための細引きをつけていなかったので、現状では頭からかぶってくるまるという使い方しかできなかったのですが、細引きをつけることで立ち木を利用してテントの様に張って利用することができます。ビバーク時だけでなく、強風時にランチ休憩する場合でも、風よけとして使うことができるので、8m分を購入しました。





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4つ目が、ワカン用爪カバーです。こういうものが売られていたとは知らなかったので、今までは裸のままで車に積み、バックパックにも爪を外向きにして装着していたのですが、車を傷つけたり、人や物を傷つけたりしかねないということで、いつも気になっていました。価格も2本1組で990円とそれほど高いわけではないので、納得の便利グッズです。

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oxtos(オクトス)わかん用オリジナル爪カバー
価格:990円(税込、送料別) (2023/3/2時点)





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5つ目が、1リットルのナルゲンボトルカバーです。1リットルのナルゲンボトルは、あまり利用頻度は高くなく、ほとんど持ち出すことは無いのですが、このカバーがあれば冬場のテント泊でゆたんぽがわりに使えそうだなと思ったので、買ってみることにしました。素材はクロロプレンゴムなので、ある程度保温力もありそうなので、寝袋の中であれば一晩ぐらい持ちそうな気がします。以前、年末の塩見岳に行ったときに、あまりの寒さにプラティパスに1リットルほどのお湯を入れてそのままゆたんぽがわりにしたら、朝までそこそこ暖かい状態を保っていたので、ナルゲンボトルでカバーありならもう少し高い温度をキープしてくれるのではないかと思ってます。

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mountain dax(マウンテンダックス) ボトルカバー 1.0L DA-530-2105
価格:1100円(税込、送料別) (2023/3/2時点)




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最後が、登山用メッシュグローブです。夏用のグローブはホームセンターコーナンで購入した作業用のグローブがあるので、あえて買う必要はないのですが、330円という激安価格で、コーナンの作業用グローブよりも甲のメッシュが薄くて涼しそうだったので、価格調整のためもあって買ってみました。

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登山用メッシュグローブ
価格:330円(税込、送料別) (2023/3/2時点)





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商品タグがハングル文字になっているので韓国製らしいのですが、激安価格のわりにつくりはこれと言って雑なところも見受けられず、そこそこ耐久性はありそうな感じです。サイズはLでぴったりでした。


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