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2017/02/18

40日ぶりのご来光登山: 伯耆大山夏山登山道その2 

2017年2月16日(木) 鳥取県大山町 大山(標高1709.4m) 日帰り単独行 


六合目から上は、完全な一枚バーンと化していて、雪質も硬く横殴りにたたきつけてくるような強い風が吹いていました。体調不良で休憩した時にハードシェルまでしっかりと着こんでいたので、特に寒さを感じることはありませんでしたが、さすがに厳冬期の山は甘くありません。


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6:16 ようやく頂上台地の端にたどり着きました。明るくなり始めた空の下、風紋が描かれた雪原の上を渡っていきます。途中で温度計を見ると、マイナス8度でした。とくに寒さを感じていなかったので、思いのほか低い気温にちょっとびっくりです。


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山頂避難小屋は半ば雪にうずもれていました。


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弥山の頂上には10人ほどの登山者がご来光を待っていました。久しぶりの晴天予報を見て、暗いうちから登ってきたのでしょう。


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6:37 弥山山頂に着きました。すぐにバックパックを降ろしてカメラを取出し、撮影の準備にかかります。荷物は雪に突き刺したアックスにくくりつけておき、カメラだけもって撮影ポイントを変えながら日の出を待ちます。


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この日はいい天気ですが、空気中にチリが多かったのか、日の出前の空はあまり赤く染まりませんでした。


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予報通りの6時51分に太陽が顔を出しました。


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弥山からの日の出は以前に撮影しているので、今回は三角点からの写真を撮るために、急いで三角点に移動しました。三角点からだと太陽の位置が剣ヶ峰に近くなって構図的にはいいのですが、山自体は完全に影の側になってしまいます。RAWで撮影しておけば現像時にある程度は調整できますが、最優先するのは空の白飛びです。しかし、山が黒潰れしてもだめなので、ヒストグラムを見ながら設定を決めます。


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日が高くなってそろそろ潮時かなと思っていると、ソロの男性が剣ヶ峰に向かって縦走し始めました。うまくすれば途中のピークで太陽と人物のシルエットが重なってちょっとドラマチックなシーンが撮れるかもと思ってしばらく待ってみました。


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しかし、彼が小ピークに到達したときには太陽はすっかりピークから離れた場所に移動してしまったので、思っていたような写真は撮れませんでした。


三角点でかれこれ20分ほど撮影していただけですが、さすがにじっと座っていたので、指先が冷えてジンジンしてきました。天気がいいので、このまま縦走してユートピア側から宝珠尾根経由で下山するという手もあります。時間は十分あります。雪質も問題なさそうですが、なぜか気乗りしなくてやめました。とりあえず、おなかも空いてきたことだし、避難小屋に入って朝食休憩をとることにしました。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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三角点から小屋に戻る途中、見事な影大山が見られました。


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避難小屋の入り口は、誰かが掘り起こしてくれていたので、問題なく入ることができました。窓ガラスは完全に雪に埋もれていたので、中に入ると真っ暗でしたが、登ってくるときに頭に装着していたヘッドライトがまだそのままだったので、暗い中でライトを探す手間が省けて助かりました。


白湯と菓子パンの簡単な朝食を済ませ、少し休憩してから下山することにしました。せっかくの天気なので、もっとゆっくりしたいところですが、時間とともに風が強まりつつあり、外でのんびりできるほど快適な状況ではなくなってしまいました。


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小屋を出たところで雪の塊に座ってクランポンを装着したのですが、このとき使っていたSirexの青いシットマットをそのまま回収し忘れて下山してしまったのが悔やまれるところです。軽量コンパクトで断熱性能も優秀で気に入っていたのに・・・ 今度大山に登った時に、避難小屋に保管されていないか確認してみようと思います。


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小屋前にある煙突のようなパイプはほぼ埋まりかけていたので、けっこうな積雪があったことがわかります。おそらく2mぐらいは積もっていたのでしょう。


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8:05 下山開始です。


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下山時には左手(南側)からけっこう強い風が吹き付けていて、雪原には細かい縦溝のような風紋ができていました。それでも、雪煙が舞い上がるほどではなく、バランスを崩されるほどではなかったのが幸いでした。


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気温を確認してみると、マイナス5度でした。日が昇って少し気温が上昇したようですが、風がきついこともありなかなかシビアな状況です。


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頂上台地の末端まで来ました。あとは下るだけです。


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頂上台地の末端から下り始めてすぐのあたりです。六合目まで続く吹きさらしの稜線は、ゲレンデのような状況になっていました。ここを下っている途中で左膝が痛み始め、しばらくすると右膝まで痛み始めました。左をかばっているうちに右にしわ寄せが来たのかもしれません。痛む膝をだましながらゆっくりと下らないといけないため、下山速度はあっというまに遅くなってしまいました。


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これは六合目の上にできていた雪庇のクラックです。暗いうちに登っているときに知らずに乗ってしまうと崩落しかねません。ここまで大きなクラックがあれば気づくでしょうが、もしもこの上に新雪がのっていたらと思うとぞっとします。六合目から頂上台地までの区間は、北壁側にあまり近づかないように注意する必要があります。


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六合目避難小屋のある場所です。上から見ると、完全に小屋は埋没していました。


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登るときに雪洞のように見えたのは、小屋を掘り起こした跡でした。


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五合目にある山の神の祠です。こちらも完全に埋まっていたのを、誰かが掘り起こしたようです。まるでかまくらの中に祭られた神棚のような状態でした。ここで少し休憩を取りましたが、膝の調子が良くなることはなく、ここから先も苦痛との戦いでした。


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10:23 膝の痛みと闘いながら、2時間以上かかってようやく下山することができました。一か月以上も運動しない状態での雪山登山は、さすがに負担が大きすぎたようです。もしも撮影後に稜線の縦走に行っていたら、途中で膝痛を発症してかなり悲惨な目にあっていた可能性があります。縦走に気乗りしなかったのは、なんとなく自分の体調の悪さを感じ取っていたのかもしれません。なんにしても、無理せず下山したのは正解でした。


のんびり着替えていたらちょうど11時前になったので、豪円湯院で温泉につかり、ついでに昼食も食べて帰ってきました。昼食は奮発して蒜山おこわとそばの定食980円を食べたのですが、おこわは芯の残った米粒がけっこう混ざっているし、お蕎麦も小麦粉の割合が高そうなうどんのようなそばだったので、980円の価値はありませんでした。入浴料が380円に値下がりしたのでサービスの質が落ちたのか、もともとこんなレベルのレストランなのか知りませんが、うどんとかカレーとか、あまり外れのないものを食べたほうがよさそうです。


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駐車場へ戻る途中、大山寺橋から見上げた大山は、ものすごい雪煙を舞い上げていました。僕が下山し始めた時は、まだ雪煙が舞うようなレベルではなかったので、午後になって強烈な風が吹き始めたようです。あんな風の中を膝痛を抱えてゆっくりと下山していたら、それだけで消耗しそうです。風が強まる前に下山できてよかったと思ったのでした。

おわり。

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2017/02/17

40日ぶりのご来光登山: 伯耆大山夏山登山道その1 

2017年2月16日(木) 鳥取県大山町 大山(標高1709.4m) 日帰り単独行 


正月山行以来、山から遠ざかっていました。理由は、以前にも書いた通り腰痛で静養していたことと、休みと天候が合わなかったこともあります。日本アルプスに登った後は、毎度のことながらアルプスロスとでもいうような気分的に盛り上がらない時期があることも重なって、すっかりウダウダな生活になっていました。


例年、2月は比較的暇な時期ですが、今年は前半はけっこういつもどおりの仕事量があり、あまり暇になりませんでした。連休を過ぎてやっと暇になり、ちょうど腰痛も痛みが治まり、アルプスロスからも脱却することができたので、晴天の平日を狙って大山に登ることにしました。どうせ行くなら、山頂でご来光を見たいというわけで、夜のうちに出発しました。


米子道 蒜山SAで仮眠をとり、午前2時に起床。溝口ICで降りて枡水方面へ県道45号を上って行きました。枡水高原スキー場から大山寺までの環状道路は閉鎖になっていたり、凍結していたりするので、途中で県道52号へと左折し、融雪道路になっている県道24号経由で大山寺を目指すことも考えていましたが、県道45号はまったく雪がないばかりか路面が完全に乾いていました。外気温も6度という表示が出ていて、前日もけっこういい天気だったことを考えるとこのまま行っても大丈夫そうだなと思えたので、県道52号の分岐を直進して枡水高原を目指しました。


予想通り、枡水高原スキー場まで難なくたどり着くことができました。ところが、環状道路に入って少し進んだところで目を疑いました。前方にバリケードが設置されていて、通行止めになっているのです。バリケードの先は1m以上はあろうかという雪が積もっていました。どうやら、途中に出ていたであろう通行止めの看板を見落としてしまったようです。


バリケードが設置されていたのは県道284号との合流点なので、左折して県道284号を下るしかありません。そのまま下っていけばもともと行くつもりだった県道52号と合流するのでなにも問題はないのですが、ずいぶん遠回りをしてしまいました。


けっこうな勾配の下り坂が続く県道284号線ですが、最初のうちは雪も凍結もなく問題ありませんでした。ところが大山まきばみるくの里のあたりから凍結路面が出始めました。勾配のきつい下り坂は相変わらずなのに、昼間融けた雪が凍結した路面は、さながらスケートリンクのようで、ブレーキを踏むといとも簡単にタイヤがロックして滑り始めます。アンチロックブレーキが作動するので、すぐにガガガッという音と振動が発生しつつも、制御不能に陥ることはないのですが、減速できないというのはかなり恐怖です。


4シーズン目となるスタッドレスタイヤですが、まだグリップ力は衰えていないのでじわじわと減速してくれます。しかし、一度まったく減速できないばかりか、じんわりとスピードが上がりながら横滑りし始めた時は、さすがに焦りました。前方には左カーブが迫っているし、もはやこれまでかと一瞬思ったものの、すぐにグリップが回復して減速し始めたので難を逃れました。久しぶりに心臓がバクバクするようなドライブを経験しました。


大山ゴルフクラブを過ぎたあたりからは凍結路面もなくなり、県道52号から県道36号と24号をつないで南光河原駐車場に無事たどり着くことができました。


南光河原駐車場には3時前に着く予定だったのに、予定よりも20分ほど遅れてしまいました。さすがに平日の午前3時過ぎなので、駐車場は満車にはなっていませんでしたが、それでも結構車があるなあというぐらい埋まっていました。


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3:42 急いで着替えて準備を整え、出発しました。駐車場前の環状道路はやはり全面通行止になっていました。ただし、この先の山荘やお寺さんなどのために1車線分の除雪はされていました。なので、登山口までは除雪された道路を歩いていくことができます。山頂までは休憩込みで約3時間とみています。本日の日の出時間は6時51分なので、なんとか間に合いそうです。



ここで一息。ぽちっと押して休憩したら続きをどうぞ。




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先日の大雪で途中の登山届ポストもほぼ埋まりかけていました。


一合目から四合目までの標柱は雪の中に隠れてしまっていたので場所はよくわかりませんが、おそらく三合目を過ぎたあたりで汗をかいてきたので、休憩がてらウェアリングの調整をしました。出発時は、
ドライレイヤ(TNF パラマウントタンク)
ベースレイヤ(ミズノ LWブレスサーモ)
ミドルレイヤ(バーグハウス スモルダーライトフリースジャケット)
アウター(マーモット アイソザムフーディー)
というレイヤリングでしたが、暑くなってきたのでミドルレイヤを脱ぎました。風がなければアウターをぬいでもいいのですが、それなりに風があったので、フリースだけでは寒すぎるという判断です。また、頭も汗が流れ始めたので、ウールのビーニーもとりました。


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4:57 五合目まで来ました。途中で道を譲った二人組が休憩していたので、五合目は通過し六合目避難小屋まで行って休憩することにしました。


ところが、六合目までもう少しというところでなんだか体が重くなってきました。心臓もドキドキしてきました。立ち止まって少し息を整えて、一歩踏み出したら軽い眩暈がしてクラクラします。なんだかやばい予感。とりあえず、座って休憩することにしました。朝食に卵サンドを一つ食べたきりなので、シャリバテかもしれないと思い、チョコレート二欠片を水筒に入れてきたアミノバイタルウォーターで流し込みました。


じっとしているとさすがに冷えてきたので、一度脱いだフリースをもう一度着こみ、さらにハードシェルも着ておきました。この上はもう吹きさらしの稜線になるので、どうせ必要になるだろうという判断です。そして、ビーニーももう一度かぶりなおしました。今思うと、シャリバテもそうですが、頭が冷えすぎてクラクラしていた可能性もあります。汗で濡れた状態でフードもかぶらずに登ってきたので、熱を奪われ過ぎていたのかもしれません。


休憩しながら撤退すべきかどうか考えていました。正月の山行以来40日間ほぼ運動らしいことをしていません。運動不足で体がなまっているのは明からです。腰痛はよくなったとはいえ、運動不足に寝不足の状態でいきなり極寒の雪山登山はちょっと無茶かなと思います。しばらくそんなことを考えていると、動悸も収まり体調も回復してきたようなので、ひとまず六合目避難小屋まで行って、まだ体調が思わしくないようなら、撤退ということにしました。


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5:32 六合目避難小屋を探しながら一歩一歩登って行きました、それらしいものがまったく見つかりません。そろそろ避難小屋があってもいいはずと思いながら左手をよくよく見ていくと、雪庇になりかけたところから左に下っていく踏み跡が見つかりました。奥を覗いてみると雪洞のようなものが見えましたが、小屋は影も形もありません。


ヘッドライトの電池がだいぶんへたってきたらしく、少し離れたところを明るく照らし出すことができなくなっているので、避難小屋なのかどうかは行ってみないとわかりません。幸い、体調は回復していて、眩暈はすっかり収まりました。体の重い感じもありません。さっき休憩したばかりだし、体調も問題ないのなら、わざわざ避難小屋に立ち寄る必要もないかということで、登山を続行することにしました。

つづく。


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