日本三大急登に挑む! 雪の黒戸尾根: 甲斐駒ヶ岳その4
2023年3月6日(月)~7日(火) 山梨県北斗市 甲斐駒ヶ岳(標高2967m) 小屋泊単独行

9:40 山頂でかれこれ30分間ゆっくりした後、下山開始です。

剣の刺さった巨岩の上までは順調に下ってきましたが、あの巨岩を過ぎると再び緊張の核心部です。登りよりも下りに事故が多いということで、慎重の上にも慎重を期して下らなければと気持ちを引き締めました。

さすがにのんびりと途中で写真を撮っているほどの余裕はなく、取付き部まで無心で下ってきました。バックステップで雪壁を下ってくるわけですが、次の足場が良く見えないときもあったりして、多少無理やりにつま先を蹴り込んで足場を確保して下りたりしました。途中にある巨岩の上で、巨岩の右側に移動しなければいけないところを見逃して下りすぎ、登り返したりもしつつ、なんとか無事に通過することができました。安全な場所まで来てあらためて核心部を振り返ると、よくあんなところを下ってきたもんだと思いました。

10:44 八合目まで下りてくると、喉がカラカラで疲労感もどんよりと体にのしかかってくるような感じだったので、荷物を下ろして休憩することにしました。核心部の通過で、思った以上にストレスを感じていたようです。

風が当たりにくい少しへこんだ場所に座って、背中側にバックパックを置いて風よけにしながら水分補給と行動食でエネルギー補給をしながら振り返ると、石碑の向こうにどっしりとそびえる甲斐駒ヶ岳に言いようのない荘厳な存在感を感じ、この山が信仰の対象となった理由をなんとなく理解できたような気がしました。

11:24 八合目からは新雪の斜面をガシガシ降りて、七丈小屋まで一気に下りました。出発時間が1時間遅くなった分、到着時間もきっちり1時間遅れました。

小屋に入って、時間短縮のために行動食を食べながらデポしていた荷物をパッキングしていたのですが、結局すべて終わって出発の準備が整うまで1時間以上かかってしまいました。最後に、12本爪クランポンを装着して準備完了です。
ここで一息。ぽちっと押したら、引き続きブログ「ヤマふぉと」をお楽しみ下さい。


12:47 急ぎ七丈小屋を出発しました。12時には出発して17時半頃には登山口に着きたいと思っていたのですが、もはや日暮れ前に着けるかどうかのレベルです。下山は膝痛が出てペースダウンせざるを得なくなる可能性が高いのでできるだけ早く出発したかったのですが、今考えてもなぜこれほど時間がかかったのかさっぱりわかりません。

13:09 七丈小屋の下にある難所をクリアし、橋まで下りてきました。休憩は次の五合目上の難所を過ぎてからとることにして、そのまま先を急ぎます。

鎖場と梯子の連続する難所を慎重にこなし、最後の長い梯子の上まで来ました。あとは、この梯子を無事に下りきればクリアです。

13:42 五合目の鞍部に着きました。予定では七丈小屋から五合目まで50分ぐらいとみていたのですが、おおむね予定通りのペースです。

黒戸山への登り返しが始まるところで、小休止をとりました。

ここで、もともとランチ用にもってきていたカレーパンを食べました。本当は甲斐駒山頂から小屋に戻ってきたときのランチに食べるつもりだったのですが、時間短縮のために行動食を食べたので余っていたわけです。カフェオレも作って飲みたいところですが、水も時間も無いのでカレーパンを水で流し込むだけにしました。

休憩を10分で切り上げて、黒戸山への登り返しに取り掛かりました。標高差ではわずか50m程度ですが、けっこうきつい急登です。

15:06 黒戸山北側の水平区間を足早に通過して、刀利天狗下の難所も無事に通過した後、最後の難所となる刃渡りまで来ました。クランポンも装着したままなので、問題なくクリア。少し痛み始めた左膝をかばいつつ先を急ぎます。

15:20 刃渡りを過ぎて、標高2000m地点にある広場のような場所で休憩をとることにしました。そろそろ座って休まないと左膝が本格的に痛み始めかねません。丸太のベンチに座って膝のマッサージをしっかりとしておきました。

16:09 標点1628近くの鞍部で再び休憩をとりました。登ってくるときにも休憩をとった石碑の様なものがあった場所です。膝のマッサージとストックで膝への負担を軽減しながら下ってきたおかげか、膝痛はひどくなることなく、いまのところ歩行に影響がでるほどの痛みは発生していません。念のため、ここでもしっかりとマッサージしておきました。また、ここでクランポンは外しておきました。まだ少し雪や凍結した場所はありそうですが、この先は滑落するような急斜面はなかったはずなので、クランポンがドロドロになって爪が摩耗しないように、早めに外すことにしたわけです。

16:44 笹の平に着きました。標点1628直下はまだ登山道に凍結した雪が残っていましたが、ここまでくると雪はほぼなくなり、早めにクランポンを外しておいて正解でした。休憩するほど疲れていなかったので、ここは通過です。
17時過ぎに標高1340m地点で一度座り休憩をとりましたが、その後はノンストップで下りてきました。座って休憩をとりたい気持ちもありましたが、一度座ると立ち上がれなくなるような気がして、自分の脚ではないような感覚の脚をただひたすら前に出すだけでした。幸い膝痛は悪化することなく、途中凍結した土で滑って転倒しかけたりもしましたが、なんとか歩行を妨げるような傷病をかかえることなく降りてこられたのは、無理なくマイペースでゆっくりと歩くことができたおかげかもしれません。

18:14 ようやく尾白川渓谷遊歩道との分岐まで下りました。まだ肉眼で周囲は見える程度の明るさはありましたが、さすがに脚元の細かい状況がわからなくなってきたので、ヘッドランプを少し先から灯しました。もちろん裸眼ではよく見えなくなってきたので、メガネも使っています。ここから、尾白川の吊り橋まで激下りとなりますが、これが最後の試練です。

18:32 吊り橋まで下りてきたころには、さすがに周囲はどっぷりと暗くなっていました。しかし、ここまでくればゴールは目前です。暗闇でさえ何のストレスにもなりません。

18:45 やっと、やっと、長い1日が終わりました。起床してからほぼ15時間ちかくになります。休憩込みとはいえ行動時間は12時間を超えました。さすがに、疲れました。自販機で買った暖かいジュースでようやく生き返ったような気分になりました。
とりあえず、入山前にも立ち寄った道の駅 信州蔦木宿で温泉に入り、そのまま車中泊させてもらうつもりで向かったのですが、なんと火曜日定休で温泉に入れなかったので、それならということでそのまま下諏訪まで行き、温泉に入って諏訪湖畔で疲れた体を癒したのでした。

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9:40 山頂でかれこれ30分間ゆっくりした後、下山開始です。

剣の刺さった巨岩の上までは順調に下ってきましたが、あの巨岩を過ぎると再び緊張の核心部です。登りよりも下りに事故が多いということで、慎重の上にも慎重を期して下らなければと気持ちを引き締めました。

さすがにのんびりと途中で写真を撮っているほどの余裕はなく、取付き部まで無心で下ってきました。バックステップで雪壁を下ってくるわけですが、次の足場が良く見えないときもあったりして、多少無理やりにつま先を蹴り込んで足場を確保して下りたりしました。途中にある巨岩の上で、巨岩の右側に移動しなければいけないところを見逃して下りすぎ、登り返したりもしつつ、なんとか無事に通過することができました。安全な場所まで来てあらためて核心部を振り返ると、よくあんなところを下ってきたもんだと思いました。

10:44 八合目まで下りてくると、喉がカラカラで疲労感もどんよりと体にのしかかってくるような感じだったので、荷物を下ろして休憩することにしました。核心部の通過で、思った以上にストレスを感じていたようです。

風が当たりにくい少しへこんだ場所に座って、背中側にバックパックを置いて風よけにしながら水分補給と行動食でエネルギー補給をしながら振り返ると、石碑の向こうにどっしりとそびえる甲斐駒ヶ岳に言いようのない荘厳な存在感を感じ、この山が信仰の対象となった理由をなんとなく理解できたような気がしました。

11:24 八合目からは新雪の斜面をガシガシ降りて、七丈小屋まで一気に下りました。出発時間が1時間遅くなった分、到着時間もきっちり1時間遅れました。

小屋に入って、時間短縮のために行動食を食べながらデポしていた荷物をパッキングしていたのですが、結局すべて終わって出発の準備が整うまで1時間以上かかってしまいました。最後に、12本爪クランポンを装着して準備完了です。
ここで一息。ぽちっと押したら、引き続きブログ「ヤマふぉと」をお楽しみ下さい。


12:47 急ぎ七丈小屋を出発しました。12時には出発して17時半頃には登山口に着きたいと思っていたのですが、もはや日暮れ前に着けるかどうかのレベルです。下山は膝痛が出てペースダウンせざるを得なくなる可能性が高いのでできるだけ早く出発したかったのですが、今考えてもなぜこれほど時間がかかったのかさっぱりわかりません。

13:09 七丈小屋の下にある難所をクリアし、橋まで下りてきました。休憩は次の五合目上の難所を過ぎてからとることにして、そのまま先を急ぎます。

鎖場と梯子の連続する難所を慎重にこなし、最後の長い梯子の上まで来ました。あとは、この梯子を無事に下りきればクリアです。

13:42 五合目の鞍部に着きました。予定では七丈小屋から五合目まで50分ぐらいとみていたのですが、おおむね予定通りのペースです。

黒戸山への登り返しが始まるところで、小休止をとりました。

ここで、もともとランチ用にもってきていたカレーパンを食べました。本当は甲斐駒山頂から小屋に戻ってきたときのランチに食べるつもりだったのですが、時間短縮のために行動食を食べたので余っていたわけです。カフェオレも作って飲みたいところですが、水も時間も無いのでカレーパンを水で流し込むだけにしました。

休憩を10分で切り上げて、黒戸山への登り返しに取り掛かりました。標高差ではわずか50m程度ですが、けっこうきつい急登です。

15:06 黒戸山北側の水平区間を足早に通過して、刀利天狗下の難所も無事に通過した後、最後の難所となる刃渡りまで来ました。クランポンも装着したままなので、問題なくクリア。少し痛み始めた左膝をかばいつつ先を急ぎます。

15:20 刃渡りを過ぎて、標高2000m地点にある広場のような場所で休憩をとることにしました。そろそろ座って休まないと左膝が本格的に痛み始めかねません。丸太のベンチに座って膝のマッサージをしっかりとしておきました。

16:09 標点1628近くの鞍部で再び休憩をとりました。登ってくるときにも休憩をとった石碑の様なものがあった場所です。膝のマッサージとストックで膝への負担を軽減しながら下ってきたおかげか、膝痛はひどくなることなく、いまのところ歩行に影響がでるほどの痛みは発生していません。念のため、ここでもしっかりとマッサージしておきました。また、ここでクランポンは外しておきました。まだ少し雪や凍結した場所はありそうですが、この先は滑落するような急斜面はなかったはずなので、クランポンがドロドロになって爪が摩耗しないように、早めに外すことにしたわけです。

16:44 笹の平に着きました。標点1628直下はまだ登山道に凍結した雪が残っていましたが、ここまでくると雪はほぼなくなり、早めにクランポンを外しておいて正解でした。休憩するほど疲れていなかったので、ここは通過です。
17時過ぎに標高1340m地点で一度座り休憩をとりましたが、その後はノンストップで下りてきました。座って休憩をとりたい気持ちもありましたが、一度座ると立ち上がれなくなるような気がして、自分の脚ではないような感覚の脚をただひたすら前に出すだけでした。幸い膝痛は悪化することなく、途中凍結した土で滑って転倒しかけたりもしましたが、なんとか歩行を妨げるような傷病をかかえることなく降りてこられたのは、無理なくマイペースでゆっくりと歩くことができたおかげかもしれません。

18:14 ようやく尾白川渓谷遊歩道との分岐まで下りました。まだ肉眼で周囲は見える程度の明るさはありましたが、さすがに脚元の細かい状況がわからなくなってきたので、ヘッドランプを少し先から灯しました。もちろん裸眼ではよく見えなくなってきたので、メガネも使っています。ここから、尾白川の吊り橋まで激下りとなりますが、これが最後の試練です。

18:32 吊り橋まで下りてきたころには、さすがに周囲はどっぷりと暗くなっていました。しかし、ここまでくればゴールは目前です。暗闇でさえ何のストレスにもなりません。

18:45 やっと、やっと、長い1日が終わりました。起床してからほぼ15時間ちかくになります。休憩込みとはいえ行動時間は12時間を超えました。さすがに、疲れました。自販機で買った暖かいジュースでようやく生き返ったような気分になりました。
とりあえず、入山前にも立ち寄った道の駅 信州蔦木宿で温泉に入り、そのまま車中泊させてもらうつもりで向かったのですが、なんと火曜日定休で温泉に入れなかったので、それならということでそのまま下諏訪まで行き、温泉に入って諏訪湖畔で疲れた体を癒したのでした。

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